新型コロナウイルスの影響を受け、学生生活のあり方が一変している。授業はオンライン化し、学生同士の横のつながりは希薄になった。予定していた海外留学も断念せざるを得ないなど、就職活動への不安も募るばかりだ。
そうした未曽有のモラトリアムにおいて、将来への準備活動として注目を集めているのが長期インターンだ。
数年前から学生への認知が着実に増加している長期インターンだが、“コロナ以前”とは様相が異なり、年次を問わず参加希望者が増加しているという。
企業の採用活動が冷え込むご時世に、日本の学生が取るべき行動とは——。長期インターン・新卒求人サービス「Infra」を運営する株式会社Traimmuの高橋慶治代表に、長期インターン市場の最新動向と新卒採用の未来予測を聞いた。
—— 新型コロナウイルスの影響を受け、長期インターンへの参加を希望する学生が増えているそうですね。
高橋 時期的な要因も少なからずありますが、弊社が運営する長期インターン・新卒求人サービス「Infra」の場合、昨年の1.5倍ほどのペースで登録学生が増加しています。学生へのヒアリングを通して、その要因は大きく2つあると考えています。
1つ目は、就職活動への危機感です。「就職氷河期がやってくる」という漠然とした不安から、少しでも力をつけようと、社会人経験が積める長期インターンへの参加を希望する学生が増加しました。
また、授業がオンライン化したことにより、“横のつながり”をつくる機会が少なくなり、「自ら行動を起こさなければ、周囲に置いていかれる」という危機感から、サービスへ登録する学生も少なくないようです。
2つ目は、可処分時間の増加です。通学時間や友人と過ごす時間が減っただけでなく、授業と授業の間の時間を有効活用できるようになったことで、長期インターンという選択肢を考える学生が増加しました。勤務時間の都合から参加条件を満たせなかった学生にも、長期インターンに参加するチャンスが増えてきたのです。
従来であれば、いわゆる「キャリア意識の高い学生」の選択肢としてとらえられてきた長期インターンですが、今では「まだ就活を明確にイメージできていない学生」の選択肢にもなっています。
—— 学生数の増加にともない、長期インターンの受け入れをする企業側には、どのような変化が起きているのでしょうか?
高橋 これまでは創立間もないスタートアップ企業の掲載が中心となっていましたが、昨年4月の1回目の緊急事態宣言を境に、上場企業からの相談件数が増加しています。
コロナの影響でテレワーク化・成果主義の徹底が進んでいることもあり、メンバーシップ型からジョブ型へと雇用形態をシフトさせている企業が少なくないので、学生時代に長期インターンを通じて実務スキルを身につけた学生は、即戦力として魅力的に映るのでしょう。
特定の職能に秀でた学生は、ナビサイト以外の経路で就職先を探しているケースが散見されます。長期インターンがきっかけで得たコネクションを駆使して、ポートフォリオを片手に、企業とダイレクトにコンタクトを取る学生が増えている。
そのため、新卒採用を意識して、そうした優秀層と早期に接点を持つ場を拡大しようという狙いもあると思います。緩やかではあると思いますが、今後は上場企業の長期インターンも増加していくでしょう。