【座談会】先輩3人がアドバイス、女子大からのオリジナルキャリアの作り方
2021年8月2日(月)
藤本:ZOZOテクノロジーズで、インハウスデザイナーをしている新卒2年目の藤本です。
私が所属するデザイン部の仕事は、株主総会用の資料からお客さまに届けるZOZOTOWNの段ボール資材のデザインまで、社内のあらゆるものをデザインすることです。よろしくお願いします。

鈴木:同じく新卒2年目で、社員クチコミサイト「OpenWork」で広報をしている、鈴木です。
取材対応や社内イベントの企画・運営、OpenWorkを通じて転職された方のインタビュー記事の作成など、OpenWorkのユースケース(ユーザーの活用成功例)を集め、サービスの魅力を社内外でコミュニケーションする仕事をしています。

小笠原:リンクアンドモチベーションで、「モチベーションクラウド(組織改善クラウドサービス)」というサービスのブランディングをしている小笠原です。
私も入社2年目で、認知率向上の獲得のためにPRやWebマーケティングをしています。具体的には、社外メディアに露出するためのニュースを作成したり、サービスの活用事例を取材し、自社メディアの記事として発信したりする仕事をしています。

小笠原:半径5mの影響を受けていたのは間違いないですね。
大学のキャリアイベントで登壇する卒業生は、公務員や政府系金融機関、メガバンクやシンクタンクなどに勤めている方が多く、私も当然そういうところに行くものだと思っていました。
実際に私も、もともとシンクタンク志望で、内定もいただいていたため、リンクアンドモチベーションとシンクタンクで、最後まで悩みました。
鈴木:私の周りも、名の知れた大手を目指す人が多かったです。私もその影響を受けて、最初は有名企業を順々に受けていくような就職活動をしていました。
鈴木:一番の理由は、大企業だと、どの部署や職種に就くかわからない状態で入社する場合が多く、そのことに不安を感じたからです。
いわゆる「配属ガチャ」に疑問を持ち、明確にやりたいことができる企業を選びたいと決めました。
OpenWorkは、もともとヘビーユーザーで、サービスや「ジョブマーケットの透明性向上」という会社の思いに共感したということもあります。
また、私が通っていた大学は、早くにインターンをしている子もいれば、TOEICなどの資格試験の勉強を頑張ったりと、学内外で何かに打ち込んでいる人が多かったです。
私も、大学3年のときから、スタートアップ企業でインターンを始めていました。その影響もあり、大企業ではなく、ベンチャー企業に興味を持ちました。
小笠原:私も、会社のビジョンに共感したというのが大きな理由です。
就職活動を始めた当初は、汎用的なスキルが身につきそうだとか、漠然と転職しやすそうだといった考えで大企業志向が強かったです。
そんなときに、たまたまリンクアンドモチベーション主催のインターンに参加しました。そこで「良い会社の定義を変える」というミッションを聞いて、自分のやりたいことはこっちに近いなと感じたんです。

自分は、当然大企業に行くものだと考えていたので、迷いましたが、最後はやりたいことが具体的に描けているほうに行こうと、決断しました。
藤本:私の場合は、職業にこだわって就活しました。というのも、私は昔からデザインの仕事に興味があったのです。
高校は美術系の学校に通い、デザインの勉強をしていました。大学ではメディアについて学びたいと考え、情報メディア学科という学科に進学したのですが、デザインへの思いが捨てきれず、4年生の時に改めてゼミでデザインを学びました。
就職活動もデザイナー職に就きたいと、決めていました。
もっとも、デザイナーといえば、制作会社や広告代理店などに入社して、企業の制作物のデザインを請け負う形の仕事が中心だと考えていましたが、就職活動を通して、社内でデザインを請け負う「インハウスデザイナー」という職種があることを知りました。
企業に属すことで、その企業が世に発信したい思いに共感した上で、デザインをイチから考え、世に出る最後まで携われることに魅力を感じて、今の会社と職業を選びました。
鈴木:就活生のときに志望企業のOG訪問をさせてもらったのですが、「ライフイベントをすべてあきらめて、男性と同じ体力で働けるのであれば向いているけれど、そうでないならやめたほうがいい」と言われ、ショックを受けたことがあります。

OpenWorkのクチコミにも「女性の働きやすさ」という項目があるのですが、男性の意見では、「女性も働きやすい」と書いている方が多くても、同じ企業の女性の意見では、育休復帰後にキャリアプランに制限が出る可能性があるといった声が見られることもあります。
私自身はまだライフイベントのイメージが湧いていないのですが、実際に働く女性の声に触れ、今の自分が求めているものや将来の自分にとって適切な選択をしたいと思うようになりました。
藤本:大学時代に先生方から言われたことで、記憶に残っている言葉があります。「女性だからと臆することなく、むしろ女性だからガンガンいきなさい」と。
女子大時代のこのような教育もあり、私は社内でも臆することなく意見を伝えられているので、当時の先生方には感謝しています。
小笠原:私は、母校のOGで女性リーダーと言われるような方々とたくさんお会いしました。昔は、女性で活躍するロールモデルが少なく、女性は社会の中で苦しい立場に置かれることもあったと思います。
そのような状況下で道を開いてこられた女性リーダーの方には憧れがありますし、次は自分もそのような女性リーダーになるべきだという使命感を持っています。
鈴木:私の地元は、岩手県なのですが、地元にいた頃は女性として長く働く具体的なイメージができていませんでした。
しかし、上京し、大学でいろんな選択肢があるということを知り、周囲で活躍する社会人の方をロールモデルとして自分の選択肢を少しずつ感じられるようになりました。
今の会社でも「自分が女性であること」は良い意味で特に意識せず働くことができています。
ただ大学入学後も、正社員で女性が働くことの難しさや、育休、産休などの働く制度も含め、男性に比べて仕事を選ぶ上で考えることは多いと思います。
鈴木:そうですね、特に大学の友人の存在が大きいです。
社会の中で、女性は働くことに関してまだ制約を受けることが多い、それをどう乗り越えていくか、どう変えていけるかという話をしてきた仲間なので、すごく価値観が合う人が多いんです。

藤本:私も、悩みを共感し合える女子大時代の友人の存在が大きいですね。
卒業してからも仲良くしている友人が多いですし、女性ならではの悩みや思いを共有できていたのは女子大ならではなのかなと。
私の通っていた女子大の学生は、自立意識が高く、尊敬できる人が多かったので、その点で選んで良かったなと思います。
小笠原:私も素晴らしい仲間がたくさんいました。
私の大学は頑張って勉強して、地方から上京してきたような子が多かったので、価値観や考え方が似ていて、誰からも批判されず、お茶大生というだけで、みんな互いに安心感がありました。
一方で、みんなそれぞれ個性的で、足並みをそろえるというよりも、それぞれで自分の道を生き、互いに尊重し合っていたので、本当に尊敬できる方ばかりでした。
周りの友人の活躍が、いい刺激でしたね。
鈴木:実際に大学では女性のキャリアについて考える機会も多かったです。卒業生の方からお話を伺う機会や、今の日本の労働市場の中で女性はどのような活躍をしているか、どのような障壁があるのかというテーマの授業もありました。
その中で女性の非正規雇用の割合など、細かいデータまで示してくださる先生がいて、女性の50パーセントは非正規雇用で働いているという話を聞いたときは、衝撃でしたね。
鈴木:就職活動中に感じる機会がありました。
例えば、男性ばかりの企業説明会に行くと、どうしても自分の目を見て育休・産休の話をされることがあるんです。それは女性だけの問題だと言われているような気がして、もやもやした気持ちがありました。

そして、自分には関係のない顔をして聞いているほかの男子学生さんの姿を見ると、少し残念に気持ちになりました。
そのような経験もあり、自身の仕事や人生を通じて、少しでも社会が変わっていけばいいなと思いました。
藤本:女子大に限った話ではありませんが、自分の夢や選択を信じて、どんどん突き進んでほしいと思います。
私の場合は、美大や芸大出身ではなく、一般の女子大卒からデザイナーになりたいという夢をかなえました。
就職活動では、世間の価値観や、周りの意見に影響を受けることもあると思いますが、自分の夢や選択を信じてほしいと思います。
周りの人や意見に流されるのではなく、自分の選択を信じていれば、きっと夢に近づくことができます。
鈴木:私も、自分の判断で意思決定をしてほしいという意見に賛成です。
また、津田塾大学の入学式で聞いたお話を、社会人になった今こそ共感しています。
津田塾大学は、世の中を平等にしていくためには、女性にも学問という武器が必要だという理由で創設されたそうです。
しかし、創設から100年が経ちましたが、男女の平等を実現するにはまだ多くの課題があると感じています。社会に出ると、上司は男性の方が多いですし、出産や育児などのライフイベントに悩まされることもあります。
そのような現代だからこそ、改めて女性が学んだり、働いたりするための武器を身につけることに意味があると感じています。
そのため、学業に励んだり、インターンや留学など手段は何でもいいですが武器をたくさん得られるような学生生活を送ってほしいなと思います。
小笠原:私は、女子大学に通われている学生の方に、もっと自信を持ってほしいと思います。
女子大学の中は、やさしい世界が広がっており居心地がいいです。だからこそ、外に出るのが怖かったり、意識が高い人にはついていけないと思ってしまうんですよね。
私も正直、1、2年生の頃からベンチャーでインターンをしている友達を見て、とてもじゃないけどできないと思っていました(笑)。
ただ、一歩を踏み出してみると、意外と自分にもできることがあるんだと、一気に視野が広がるんです。皆さんには、何か自信を持てるものが必ずあるはずなので、一歩を踏み出していただきたいなと思います。

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取材・文:平瀬今仁、編集:佐藤留美、デザイン:岩城ユリエ、撮影:本人提供