【口コミ7選】新人営業におすすめ「セールス力を高める本」紹介
2021年7月23日(金)
2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネスを取り巻く環境は激変し、2021年、営業のあり方も大きく変化している。
多くの産業で非対面の営業が求められ、顧客との関係構築にも変化が生まれた。
また、SaaS製品の普及もあり、営業スタイルは「個の力で売る」ものから「チームで営業し続ける」形に進化しつつある。事実、インサイドセールスやカスタマーサクセスなど、さまざまな営業関連チームを新設する企業が増えているのだ。
このような変化の中、下の記事では、現代の営業パーソンに必要な3つの力と新たな役割が説明されている。
【仕事の未来】2021年、営業に求められる「3つの力」顧客の課題に対する解決策を提示できる「ビジネスパートナー力」、潜在顧客とつながるための情報発信を主導する「企画力、発信力」、そして「マーケティングからカスタマーサクセスまでの幅広い理解力」が今まで以上に求められるという。
どれも、巧みなセールストークで売り切る営業スタイルや、365日24時間、顧客の要望に対応する御用聞き営業では身につかない力だ。

では、先輩による教育の機会が以前に比べて少なくなった今、若手の営業パーソンはどうやってこれらの力を身につければいいのか。
今回は、JobPicksのロールモデルがおすすめする、未経験・新人営業パーソン必読の営業本4冊を紹介していく(注:ロールモデルの所属・肩書は、全て本人が投稿した時点の情報)。
まずは、「ビジネスパートナー力」を高めるのに役立つ本を紹介しよう。
下の記事では、営業を「自社サービスを用いて顧客の課題解決をし、その結果として売上をつくっていく仕事」だと定義している。

営業職はきつい仕事?向いている人をキーエンス出身者が解説
営業力を上げ、成約率を増やすためには、顧客の本質的な課題を洗い出すスキルが必要ということだ。
この力を会得する上で、JobPicksのロールモデルには書籍『イシューからはじめよ』が役立ったと述べる人が数多くいた。
『イシューからはじめよ』の著者は、ヤフーのCSO(チーフストラテジーオフィサー)や慶應義塾大学SFCの教授を務める安宅和人さん。あらゆる問題解決に使える思考法やアウトプット術が学べる一冊として有名だ。
本書を推薦するNewsPicksのフィールドセールスShuhei Nishimuraさんによると、営業活動で生産性の高い人と低い人の違いは「問題を解く前に、問題の『見極め』をしているかどうか」だという。
『イシューからはじめよ』には、その際に必要となる問題特定のスキルと、問題解決の手助けをしてくれる知恵がたくさん記してある。
生産性の高い人と低い人の違いは、問題を解く前に、問題の「見極め」をし
NewsPicksの佐久間亮輔さんも、営業パーソンが顧客に寄り添うため、「イシュー」を把握して分析する方法が網羅されていると本書を薦めている。
この1冊しか思いつきません。 顧客に寄り添うための“イシュー”把握
問題解決のスキルを身につけるために本書を読み、営業活動での実践を通じて活用を繰り返すのが、成長の近道となるようだ。
次に紹介するのは、営業における「企画力、発信力」を鍛えるのに役立つ本だ。
営業で重要なのは、顧客と良好な関係を築き、自社商品を魅力的に伝えること。そのため、セールストークやプレゼン術、営業資料の作成スキルなどを磨く営業パーソンは多いが、本質的に求められるのはこうした小手先のスキルではない。
人はあくまでも「仕事(ジョブ)を片付けるために、何かを雇用する」のであり、それが顧客にとっての「消費」だからだ。
この「ジョブ」を見つけ出すテクニックが分かる一冊が、書籍『ジョブ理論』である。
『ジョブ理論』は、人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解明した本で、著者は世界的に高名な経営学者、故クレイトン・クリステンセン教授だ。
BtoB向けクラウドサービスの開発・提供を行うスタディストでカスタマーサクセスを務める須藤徹治さんによると、本書は「顧客が持つ課題の仮説を立てる際の検討軸の考え方を教えてくれる一冊」だという。
顧客が「商品Aを選択して購入する」ということは、「片付けるべき仕事(
また、人事・採用支援事業を展開するリスペクトの山下航希さんは、自社商品がどんな課題を解決するのかを考え直す際に役立つとコメントしている。
マーケティングの基本を学べるから、でしょうか。 BtoBマーケティ
本書の副題にある「消費のメカニズム」を学ぶことで、その後のアウトプットの質も大きく改善されるはずだ。
続いて取り上げるのは、「マーケティングからカスタマーサクセスまでの幅広い理解」を促してくれる一冊だ。
現代のモダンな営業プロセスでは、顧客にサービスを提案するフィールドセールスだけでなく、フィールドセールスから顧客を引き継ぎ長期的な関係性を築くインサイドセールス、顧客と伴走しながら課題を解決し続けるカスタマーサクセスなど、多くの職業が絡んでくる。
これらの仕事は、一つ一つが独立しているのではなく、連動しながら動くことで初めて価値が最大化される。
この一連の営業プロセスを構造的に理解できる本として好評なのが、書籍『THE MODEL』だ。
本書は、セールスフォース・ドットコムやマルケト(のちにアドビが買収)などでSaaS製品の普及に尽力してきた福田康隆さんが著者となっている。
【福田康隆】顧客は変化している。営業・マーケも変わろう福田さんは、特にSaaSビジネスが勃興する今、営業パーソンは従来型の「顧客との接点を全て1人でカバーするモデル」から脱却するのが大切だと説く。
マーケティングやインサイドセールスとともに顧客と長期的に接点をつくり続け、その過程で顧客ニーズの変化を柔軟に捉える必要性があるからだ。
JobPicksのロールモデルにも、こうした仕組みづくりのコツをまとめた『THE MODEL』を推薦書として挙げる人が複数いた。
給与前払いサービスを運営するペイミーで、カスタマーサクセスを担当する門野妹さんは、本書を「カスタマーサクセスとして必読の一冊」だと推薦している。
SaaS業界で、読んでないと会話に入らなくなるモデハラ(ザ・モデルハ
MIMIR(ミーミル)のカスタマーサクセス山中祐輝さんも、「営業プロセスや顧客に何か問題が起きた際に、営業職の役割やKPI変更の柔軟な対応が可能になるセールスプロセス構築を促進する一冊」だと述べる。
カスタマーサクセスについて書かれた書籍はいくつかありますが、比較的一般的なことが書かれていたり、リアリティを感じない教科書的な説明に終始していることが多いです。 一方で、『The Model』は教科書的な理路整然とした分かりやすさがありながらも、SaaSのセールスモデルの本質を感じられるリアリティがあり、入門書としては本当にわかりやすいです。 SaaSのCSを理解するにあたっては、SaaSのセールスモデル全体の理解や、CSより前のプロセス(Marketing、Inside Sales、Field Sales)との役割の違いなどを理解する必要がありますが、本書ではその全体の流れが非常に網羅的に理解できます。 重要なのは、Marketing、Inside Sales、Field Sales、Customer Successの一連のプロセスが淀みなく流れていること。何か問題が起きたときや事業フェーズが変わったときに、チームごとの役割やKPIを柔軟に変えていけること。そして、CSから顧客のリアルをFiedl Sales、Inside Sales、Marketingに還元していくことで、全体のモデルやターゲティングをよりブラッシュアップしていくこと。これらCSに求められる役割が、非常にわかりやすく書かれているので、CSを務める方にはぜひ読んでいただきたいです。
山中さんの言葉通り、『THE MODEL』は教科書的な解説にとどまらず、次世代型のセールスモデルを実践するためのリアリティも網羅している。
若手の営業パーソンやカスタマーサクセスの入門書としてだけでなく、営業部門のマネージャーが組織づくりを行う際の参考書としても役立つだろう。
最後に、営業の仕事で成果を出す上で最も重要な「人間理解」を深めるための一冊を紹介しよう。
『影響力の武器』は、アメリカの社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニによって書かれた名著として愛され、人を説得し、望まれる行動に導くための6つの心理的メカニズムが詳細に解説されている。
「営業を科学する会社」Buffの野村幸裕さんは、本書を営業のバイブルと評しており、自身も次のように活用しているという。
営業のバイブルのような本です。 お客様の心を動かし購入頂くための原理
一般的な「営業本」ではないが、自身なりの営業術を見つける際に、本書は役立つのではないだろうか。

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