【鷹鳥屋明】社風の不一致、2社の解散。ある社会人の数奇なキャリア

【鷹鳥屋明】社風の不一致、2社の解散。ある社会人の数奇なキャリア

代わり映えしない毎日に退屈して、通勤中に「全く違う仕事をしている自分」の姿を空想する——。


単調な日々の繰り返しに退屈し、漫然と過ぎていく毎日を抜け出そうと、キャリアチェンジを考えた経験のある人は少なくないだろう。


しかし、現実的ではないという理由から、「全く違う仕事をしている自分」への変化をあきらめてしまう人がほとんどだ。


ただ、大胆なキャリアチェンジは、あなたの人生をポジティブな方向へと導く可能性を秘めている。


アカツキの鷹鳥屋明(たかとりや あきら)さんは、初めて転職した会社でカルチャーが合わず、その後に転職した2つの会社が解散するという、順風満帆とは言い難いキャリアを歩んできた。



しかし、外務省のプログラムでサウジアラビアを訪問したことがきっかけとなり、「中東で一番有名な日本人」というタグを獲得し、いわゆる王道とは少し異なる形でキャリアを開拓。



現在は、エンタメ事業を展開するベンチャーのアカツキで、アライアンス(企業間での業務提携)に従事し、「やっと天職に巡り会えた」と語る。



鷹鳥屋さんの数奇なキャリアを振り返り、自分に合った仕事に出会う“素敵な偶然”のつくり方を探っていく。

【転職術】社風の不一致、2社の解散。ある社会人の数奇なキャリア_02

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目次

中東で一番有名な日本人に


—— 普段から、アラブの伝統衣装を着て仕事をしているのですか?


アカツキは服装が自由なので、普段の仕事はもちろん、商談もこの衣装です。自宅のクローゼットには、60着の衣装があります。



—— 中東地域とは、いつからかかわりを持っているのでしょうか?



社会人5年目に、外務省とサウジアラビア政府が主催するプログラム「日本・サウジアラビア青年交流団」の募集をTwitterで見つけ、参加したことがきっかけです。 


当時は日立製作所で財務、経営企画の仕事をしていて、中東とはかかわりのない業務を担当していました。 


大学は、中東ではなく中国史とトルコ史が専攻の、歴史オタクです。海外留学生が多くいる剣術部に所属していたこともあり、普通の人よりも異文化に接する機会が多かったのです。


そうした背景もあり、知人の在サウジ日本大使館の大使の娘さんから「サウジアラビアは面白い」という話を聞くたびに、中東への関心が高まっていました。


つまり、もともと興味を持っていたところに、偶然にも「日本・サウジアラビア青年交流団」という形で機会が巡ってきたわけです。



会社に無理を言って、2週間の有給休暇を取得し、サウジアラビアに飛び立ちました。それからというもの、中東にどっぷりとハマってしまって。



—— どのような点に魅力を感じたのですか?


まず大きな魅力を感じたのは、お酒を飲まない文化です。


私は体質上、ほとんどお酒が飲めません。いわゆる、下戸です。


しかし、古い体質だった会社では飲みの席を仕事、もしくはその延長の一環として扱う文化があり、そのことで入社してからずっと悩まされていました。


そのため、お酒を飲まずにビジネスや人付き合いを進められる中東の環境は、私にとって天国だったのです。


2つ目は、現地の人たちの性格が、自分に合っていたこと。


私は九州の大分県出身で、竹を割ったような分かりやすい性格をしています。お酒なしでも本音を言い合えるアラブの人たちとは、ウマが合いました。



—— その後、中東で有名になったきっかけは何だったのでしょうか?


交流プログラムが終了してからも、外務省で担当された方々との付き合いは続いており、そこでの出会いが今につながっています。


大使館などのパーティーがあった際に、民族衣装を着て参加を続けていました。


そして、パーティーで出会ったバーレーンの副大使と、サウジアラビアのインスタグラマーから「君は面白いから絶対SNSをやったほうがいい」と勧められたのをきっかけに、発信を始めました。


以来、自分も大好きな漫画やアニメ、エンターテインメントの話をアラビア語で発信し続けることでフォロワーが増え、いつしか「中東で有名な日本人」として認識されるようになりました。現在、Instagramのフォロワーは7万人近くいます。


【転職術】社風の不一致、2社の解散。ある社会人の数奇なキャリア_鷹鳥屋明_03
カタールのビジネスパーソンとの会食風景(写真:本人提供)

—— 中東関連のビジネスをするようになったのは、それがきっかけで?


当時の日立製作所では、昇降機の経営企画部門や、海外向け案件の経営管理部門で働いていました。戦略と戦術を俯瞰して見ることができた経験は、今でもビジネスパーソンとしての根幹になっています。


ただ、その時は中東とかかわりのある仕事ではありませんでした。せっかくなら中東で得たリアルな知識と人脈を生かして、仕事をしていきたいと考えるようになりました。


唯一無二の“タグ”が武器になる

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