学生から根強い人気を誇る職種、ブランドマーケター。
ブランドという言葉の印象から華やかなイメージを持つ方も多いようだが、ミルボンでブランド戦略統括マネージャーを務める竹渕祥平さんの言葉を借りれば、“縁の下の力持ち”だという。
ミルボンは、美容室専売のヘアケア用品を開発、提供している美容メーカー。60年前に創業した老舗企業でありながら、時代に合わせて柔軟に変化し続け、24期連続で収益を伸ばし続けている。
そんな業界トップシェアを誇るミルボンの企業ブランディングを担当しているのが、竹渕さんだ。
あらゆるデータを参考にして立てた仮説をもとに自社が動き、美容室が動き、顧客が動く。組織を回す歯車の中心軸となるこの仕事は、スケール感を感じられる分、大きな責任がついてまわるという。
「この仕事で得られるものは、達成感というよりも安心感が近い」と語る竹渕さんに、ブランドマーケターのリアルを語ってもらった。
—— はじめに、「ブランドマーケター」という仕事を一言で表してください。
竹渕 ブランドと顧客の間に信頼を築く仕事です。
—— その「ブランドマーケター」という仕事に対する竹渕さんの定義について、より詳しく聞かせてください。
現在、私が専門としているのは企業ブランディングなので、「ブランドマーケター」と聞いて一般的に想像される製品のブランドマネージャーとは、やや異なるかもしれない前提でお話しさせていただきます。
私の解釈として、「ブランドの価値と魅力を最大化し、その結果として得られた利益を顧客に還元することで、会社を成長させる循環を生み出す」。これが、ブランドマーケターのミッションです。
「ブランドの利益を最大化する」、もしくは「顧客と向き合う」など、2つの要素のうちの一方だけでは成り立ちません。
重要なのは「プロダクトやサービスを磨いてブランド価値を高め、利益を最大化する」ことだと考えています。
利益を得ることによって、新商品開発や機能向上に向けた研究開発、つまりお客様に向けた投資が実現します。
商品価値が高まると、お客様が繰り返し商品を購入してくださり、さらに利益が積み重なります。この循環を生み出すための戦略策定が、ブランドマーケターの仕事なのです。
今でこそ、こうしてブランドマーケターとしての役割を言語化できていますが、実は5年前にコーポレートステイトメントを変更する以前は、弊社内に「ブランド」を重視する風潮はあまりなかったと記憶しています。