連載:5分でジョブ解説
学生や若手社会人から人気を集める職種を取り上げ、その道で活躍する先輩のアドバイスから、キャリアの礎となるヒントをひも解く連載企画。
本記事では、ニーズが高騰する「マーケター」に焦点を当て、マーケターとして正しくキャリアを築く方法を探っていく。
想像力と分析力をかけ合わせ、消費者にサービスの魅力を届ける——。企業の命運を握る職業・マーケターが、就活生や若手ビジネスパーソンから人気を集めている。
デジタルトランスフォーメーションの推進により、マーケターの役割は細分化され、「SNSマーケター」や「広告運用マーケター」といった職種のニーズが高騰している。
しかし、そうした潮流にともない、マーケティングに関する誤解が増えているのも事実だ。
企業のデジタルマーケティング活動を支援するデジタリフトの鹿熊亮甫(かくま りょうすけ)さんは「コンセプトメイキングや戦略構築ができて初めて、マーケターと呼ぶに値する」と語る。
「マーケターのキャリアは、終わりなき旅です」と話す鹿熊さんに、マーケティングの本質と、マーケターの未来について聞いた。
—— 鹿熊さんが考える、マーケターの定義について教えてください。
マーケターとは文字通り、マーケティングを実行する人を指します。
では、マーケティングの定義とはなにか。
マーケティングの権威として広く知られているフィリップ・コトラーの言葉を借りれば、「ニーズに応えて利益を上げること」です。
つまり、マーケターとは、「売上をつくり、利益を上げる活動をする人」だといえます。
市場の調査や顧客の分析、商品・製品やサービスの企画、広告宣伝……といった、マーケティングという言葉から連想される業務は、すべて「売上をつくる」という最大の目的を達成するための方法であり、一連の流れになっています。
—— 昨今は「デジタルマーケティング」や「SNSマーケティング」といった仕事をよく耳にします。いわゆる「マーケティング」とは、なにが異なるのでしょうか?
マーケティングはコンセプトをつくることに始まり、顧客の目に触れるSNSの広告運用まで、非常に守備範囲の広い仕事です。
言葉の定義に従えば、すべてのセグメントを網羅的に理解している人=マーケターなのですが、そうした人は、市場にほとんどいません。
マーケターを自称する大半のビジネスパーソンは、デジタル領域に特化した「デジタルマーケター」や、SNS運用を得意とする「SNSマーケター」といった、細分化されたセグメントを担う人たちです。
当然それらもマーケティング活動の一部ですが、特定の職種に特化した人材が「マーケター」を自称することには、言葉の定義からすると、少なからず違和感を覚えます。
「売上をつくる」という大上段に掲げた目的に立ち返れば、コンセプトや仕組み——いわば戦略をつくることこそが、最も難度が高く、目的の達成に寄与するアプローチです。
そうであれば、市場における自社の立ち位置やリソースを把握したうえで、コンセプトメイキングや戦略構築ができて初めて、マーケターと呼ぶに値するのではないかと思います。