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【要点まとめ】データ分析の「結果」をビジネスに生かすコツ

【要点まとめ】データ分析の「結果」をビジネスに生かすコツ

目次

JobPicks経験談まとめ

「みんなでつくる仕事図鑑」JobPicksは、さまざまな職業のロールモデルが投稿してくれたリアルな経験談を多数掲載している。本連載では、その投稿内容を参考に、仕事や就職・転職の悩みを解消するヒントを探っていく。今回紹介するのは「データ分析」にまつわるtipsだ。



データ分析は「活用」が難しい



データ分析を通じて事業課題や顧客(ユーザー)の欲求を発見する仕事が、重要度を増している。



採用市場ではデータサイエンティストの需要が年々高まり、SEOやSNSマーケティングの施策を考えるWebマーケター・デジタルマーケターにとって分析スキルは新人〜ベテランまで必須になった。



他にも、営業推進事業開発プロダクトマネージャーコンサルタントなどの仕事では、以前からExcel(エクセル)やGoogleスプレッドシートを使ったデータ分析がルーティン業務の一つだった。近年、こうした業務は幅広い職種で求められる。



その背景には、下の記事で説明されるように「ビッグデータそのものも、ビッグデータを分析するツールも、われわれが考えているよりはるかにオープンになっている」という現状がある。





ただし、専門家以外の人もデータ分析ができるようになったからこそ、今求められるのは「分析結果」をビジネスに活用するスキルだ。



単にデータ分析をするだけでは、ビジネスに使える示唆は見いだせない。苦労してデータを集めたにもかかわらず、分析結果を基に事業やサービスを改善するプロセスでつまずくケースも少なくない。



エクセルを使った分析ノウハウがたくさん出回り、AIを搭載する高度な分析ツールも気軽に使える状況下で、データ分析のプロたちは、分析結果を活用するためどんな工夫しているのか。



6人のロールモデルの経験談から、データ分析を成果につなげるコツを読み解く(注:ロールモデルの肩書などは、全て本人が投稿した時点の情報)。



データサイエンティストの下準備に学ぶ



分析のスペシャリストであるデータサイエンティストの経験談を読むと、分析作業に入る前の準備が重要だという内容が多い。



ボストン コンサルティング グループなどを経て、ビッグデータ分析のAIツールを提供するDataRobot Japanでデータサイエンティストになった柴田暁さん(現・同社CEO)は、そもそも何を分析するべきか? の仮説が間違っていると、その後の作業が徒労に終わると言う。

柴田暁 DataRobot Japan

データサイエンティスト苦労

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

柴田 暁
経験者柴田 暁
DataRobot Japan

前提が間違っていたとき

データ分析は複雑なステップを順番に踏んで行く必要があります。例えば複数のデータを組み合わせる、その後にデータのクリーニングを行う、その後にビジュアライズして仮説を立てる、それを元にモデルを作る、それを元に予測を行う、などです。最終的にはより正しい結果が求められるのはもちろんですが、各ステップで正しいことをやっていないとあとになって大きな手戻りが発生してしまうということもあります。機械学習で予測モデルを作るステップまで到達することができた...

けれども、実はそもそも対象としていたデータには思わぬ偏りがある(例えばなぜか部分的なデータしかなかった)ということにあとから気づく事があるとそれまでに時間をかけてやってきた分析が全部始めからやり直しになる、何ていうことも起こってしまいます。それが研究発表の前日だったり、お客さんに結果を見せないといけない数時間前だったり、そんな経験もたくさんしてきました。自分の分析結果を人に見せる上では、その答えが間違っていることは自分のプロフェッショナルとしての信用に関わりますので、そのようなことがなかったか細部まで気を利かせて注意しないといけないということになります。最近ではそのような間違いを起こしにくくするような優れた分析ツールがたくさん出てきていますが、データ分析・活用においては丁寧さがとても重要だと思います。




『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』を運営するユー・エス・ジェイや、クラウドファンディングのREADYFORなどで分析業務をしてきた浅井貴宏さんも、仕事時間の「約8割がデータ準備にかかる」と投稿している。

浅井貴宏 フロンティア株式会社

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

浅井 貴宏
経験者浅井 貴宏
フロンティア株式会社

膨大なデータを1つ1つ確認してデータ加工する必要があるとき。地道にやっていかないと終わらないので非常に辛いです。


データ分析作業に投入するコストのうち、約8割がデータ準備にかかると言われているほど、すぐに分析に取り組めるとは限りません。


数万行のデータを目で確認して加工するなど、延々と続く地味な作業に泣きそうになりながら取り組んでいたこともありました。




浅井さんは、苦労して分析したデータを「どう解釈して」「どうビジネスに生かすのか」を見据えて仕事をする大切さも述べている。



同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

浅井 貴宏
経験者浅井 貴宏
フロンティア株式会社

「当事者意識をもってデータに向き合う」


データ分析やシミュレーションモデルの作成など、データは客観的に評価しなければなりません。


しかし、データ分析の結果だけでは人を動かすことはできません。何を必要としているのか、そこから何をしたいのかをジブンゴト化し、データをどう活用するかまでをしっかり考えなければなりません。


データの向こう側にいる人をイメージすることはもちろん、一緒に仕事をする人をわくわくさせることを意識して、データ分析業務...

に取り組んでいます。




データ分析そのものは専門家以外にもできるようになったからこそ、何のために結果を見たいのかを考えて加工・分析を進める準備が今まで以上に大切になるようだ。



>> データサイエンティストの経験談一覧はこちら



マーケターは「全体と1人」を見る



データ分析の結果を仕事に生かす方法を知るには、Webマーケター・デジタルマーケターの経験談も役に立つ。



教育サービスの全研本社やDeNA、DMM.comなどでWebマーケターを歴任してきた川畑光優さんは、膨大な量のデータを分析する一方で「1人のユーザー」がサービスを利用した理由を考えるように勧めている。

川畑光優 合同会社DMM.com

同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

川畑 光優
経験者川畑 光優
合同会社DMM.com

1セッションの向こうには、1人のユーザーが居る

元ネタはクックパッドのエンジニアさんの言葉らしいのですが(笑)

数万セッション規模の施策を考えていると

1セッションの重要性に対する感覚が麻痺してくるため、

自戒の言葉として大事にしています。


施策のインパクト(量)も重要ですが、

サービスや施策が悪いせいで、離れてしまうユーザーさんを “0 “にできるよう。

施策の優先度や改修案検討の時は注意しています。


データで話すことが多いのですが、

マーケターとして、ユーザーの"気持ち"を考...

え続けたいと思います。




GMO NIKKOやNewsPicks StudiosでWebマーケターをしてきた米山朱茜さんも、先輩かもらったアドバイスとして次のようなポイントを挙げている。

米山朱茜 株式会社NewsPicks Studios

同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

米山 朱茜
経験者米山 朱茜
株式会社NewsPicks Studios

ひとりひとりのユーザーデータを見た方が掴める

データを見る時は、全体感を掴んだら満足してしまいがちですが、

個別具体なデータをいくつか見ることが重要で、そうすることでユーザー像が見えると教えていただきました。


全体を丸めた数値を見ているとなんとなくわかった気になりますが、

個別具体なデータを見ることで、ユーザーの行動がよりくっきり見えて、なぜそのような行動を取ったのか想像しやすくなると感じます。




2人の経験談を読むと、データ分析で見えた全体の傾向だけでなく、ペルソナになりそうな「顧客(ユーザー)1人の行動」も調べることで、分析結果を具体的な施策につなげるきっかけが得られるようだ。


>> Webマーケター・デジタルマーケターの経験談一覧はこちら



サービス改善で大切な「ひと手間」



さらに具体的なデータ活用法として、分析で得た知見をプロダクトの企画〜改善に落とし込むプロダクトマネージャーの経験談を紹介しよう。



スキルマーケット『ココナラ』のプロダクトマネージャーPenpen Kanakoさんは、駆け出しだったころ、「自分たちの起こす『些細に見えること』がどのくらいお客様に不便、不安、不満を与えてしまうのか? を敏感に感じ取れるようになって欲しい」とアドバイスされたそうだ。

Penpen Kanako 株式会社ココナラ

同業の先輩や同僚にアドバイスされたことで、最も仕事上の教訓になったことは何ですか?

Penpen Kanako
経験者Penpen Kanako
株式会社ココナラ

ユーザーの痛みとシンクロしろ

プロダクトマネジメント業駆け出しの頃に先輩に言われ、今でも大事にしている言葉です


「デジタルで完結するサービスを運用して、データを日々見ていると、だんだんお客様の心の機微に疎くなる。データの向こうに生身の人間がいることを忘れてはいけない。そして、自分たちの起こす「些細に見えること」がどのくらいお客様に不便、不安、不満を与えてしまうのか?を敏感に感じ取れるようになって欲しい。

 ・サービスの寸断

 ・ちょっとした説明の入れ忘れ

 ・マス...

ターシートの設定ミス どれも運用側には一見、些細な時間だったり、修正の工数がさほどかからない(場合によっては管理画面でちょっといじるだけの?)事象かもしれない。ただ、その裏でその事象によって、ユーザーの大事な商談が潰れたり、(ゲームなら)白熱したバトルに水を刺されてデモチすることだってある。ユーザー体験への影響は決して障害の大きさに比例するわけではない。我々のちょっとした判断がユーザーを「ちょっと不快」なんかではなく「絶望させる」ことがある。 また、ユーザーに「良かれ」と思ってとった対応が、その対応の裏で対応を受けられなかったユーザーを白けさせていることもある。 プロダクトマネジメント歴の浅い人はユーザーの「喜びそうなこと」には意識を向けられるが「痛み」と細部までシンクロできる人は少ない。運営側でありながら、圧倒的なユーザーとしての当事者意識を持って、それでも運営としての判断ができる。そんな人がコンテンツをグロースさせることができる。」 という意味が込められている1行です。




Kanakoさんの投稿には、「ユーザーの『喜びそうなこと』には意識を向けられるが『痛み』と細部までシンクロできる人は少ない」というコメントがある。



この痛みが何なのか? をデータ分析で探るには、「サービスの寸断」や「説明の入れ忘れ」など、既存機能の“粗(あら)”と付き合わせて考える習慣が大切になるだろう。



そうすることで、具体的な改善策が見えてくる。



また、AIやIoT(デジタルサービスと物理的な製品を融合させたプロダクト)を用いた保育関連サポートを行うユニファの山口隆広さんは、過去の成功体験として「定性データも地道に拾い上げる」ことを挙げている。

山口隆広 ユニファ株式会社

仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

山口 隆広
経験者山口 隆広
ユニファ株式会社

成功事象と課題が繋がったとき

想定していなかった特定の機能がやたらと使われているらしい…アプリのレビューを見てもその話題ばかり。でも、なぜその結果に繋がっているのか全く何も想定がつかないこと。プロダクトに関わる方であればよくあると思います。


失敗の原因が見つからないことは怖いですが、成功の理由が見つからないことはもっと怖い。そんな時にできることはひたすら利用者にアポを取り、観察し、深く話を聞くこと。


IoT製品で、スマホで鍵をあけることのできるスマートロックとい...

うものがあります。これを外出先から鍵をあけられるように拡張するデバイスを販売したところ、子どものいる世帯からの評判がやたらと良いことがありました。 子どもだから鍵っ子…?でも子どもは別に外から鍵をあけないよな、むしろ危ないよな、等と思っていたところ、それが一番機能していたのは家族でのお出かけタイミング。 家族全員が車に乗って「鍵しめたか?」「わかんなーい」「僕最後じゃないし」となると、お父さんはまたマンションに戻り、階段をのぼりドアを確認しなければなりません。しかし、これが外出先から鍵を操作できるのであれば、今がどうであってもとにかく鍵を閉めればいい。戻らなくていいUXがここに生まれていたのです。 製品開発の時に「家族で出かけるときに鍵を確認して戻るの面倒じゃないですか?」までのエッジな視点はなかったのと、仮にそれを会議で出したところでもっと一般的な利用ケースを考えるべきじゃない?と一蹴されるでしょう。でも、実際はそれが大事だった。こういう思ったのと違う所で生まれた価値を見つけ、繋がったときが一番楽しいと思う瞬間です。




山口さんの経験談を読むと、定量データを分析して気付いた点や疑問があったら、個々のユーザーに直接聞きながら理由を明らかにするのが大切だと分かる。



これは、Webマーケターの「全体と1人を見る」仕事術とも共通する。



データを分析して満足するのではなく、それがどんな意味を持つのか足を使って確かめる作業も大事──。ここまでやることで、事業やサービスを進化させる糸口が具体的に見えてくる。



データ分析にかかる苦労に報いるためにも、心に留めておきたいエピソードだ。



>> プロダクトマネージャーの経験談一覧はこちら


JobPicks未来が描ける仕事図鑑_01


文・構成:伊藤健吾、デザイン:國弘朋佳

※ この記事に編成されている経験談は、記事作成時の経験談の内容と情報が異なる場合があります。

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