【先輩の声】ABEMA最年少プロデューサーの型破りなキャリア形成
2021年5月21日(金)
もともと「ABEMA」の視聴者だったこともあり、学生ながら「今すぐにでも働きたい」と思っていました。
しかし、調べてみても、長期インターンの募集がなかったのです。
親会社であるサイバーエージェントで働いている知り合いもいなかったので、実際に働いている社員に直談判するために、19卒の新卒採用選考に潜り込みました。
無事に選考を突破していったのですが、あるタイミングで20卒であることを告白すると、「まだ内定は出せない」と言われてしまいました。
対象の学年ではありませんから、当然のことです。
しかし諦めきれず、「どうしても働きたい」と食い下がりました。
すると、熱意が伝わったのか、募集していなかった長期インターンとして、働く機会をいただきました。
もちろん躊躇しましたが、少なくとも「働きたい」という熱意は伝わると考えていました。
また、「ABEMA」に対する思いは、選考に参加している誰よりも強いと自負していたので、「マイナスに捉えられることはないだろう」とも思っていましたね。
実のところ、応募資格を持たない私が採用してもらえたのは、誰よりも「ABEMA」が好きで、詳しかったからだと思います。
そして、「ABEMA」で働きたい理由にも、しっかりとした根拠がありました。
熱意があるのはもちろん、それを裏打ちするエピソードがあったからこそ、オリジナルな就活でキャリアのスタートラインに立てたのだと思います。

私は小さな頃からテレビ番組が好きで、特にドキュメンタリーやリアリティショー番組に興味を持っていました。
しかし、親の教育方針でチャンネル権が与えられておらず、好きな時間に好きな番組を見ることができませんでした。
とはいえ、かなりのミーハー気質だったので、学校でテレビ番組について話すクラスメイトの話についていくべく、必死になってインターネットで番組に関する情報を入手していました。
そのため、スマホさえあれば全員が好きな番組を観られる「ABEMA」は、私にとって救世主のような存在だったのです。
高校生の頃は「映像の世界で働きたい」と思っていて、特に映像ジャーナリストに興味があったので、ジャーナリズムも学べる法学部に進学しました。
ですが、学校の勉強以外に何をすればいいのかが分からず、まずは手を動かしながら「伝えること」への理解を深めることにしました。
最初に挑戦したのは、ライターです。
「映像で伝える仕事」をするには、まずは「文字で伝える力」が必要だと考えての選択でした。

「ABEMAで働きたい」という思いが、確固たるものになりました。
記事を執筆するだけでなく、企画出しや取材のアポ取りまでを担当したことで、コンテンツ制作に強い興味を持っていることを認識できたのです。
また、自分が制作した記事が、SNSで拡散されていくのも快感でした。
お世辞にも「一人前」といえるほどの文章力はありませんでしたが、担当した記事には数十万PVを超えるものもありました。
ライターとしてインターンを経験したことで、「インターネットメディアで働きたい」という思いが明確になり、次のステップとして「ABEMA」の門を叩いたのです。

企画出しや番組制作の進行サポートする「アシスタントプロデューサー」としてインターンを始め、業務開始から4カ月後に内定をいただきました。
自分なりに内定に至った理由を分析すると、自分の頭で考えながら、積極的にアクションを取ったことが影響していると思います。
例えば、制作会社さんへの出向を申し出たこと。
番組を制作する際、「ABEMA」では、撮影や編集といった技術的な部分を制作会社さんに依頼しています。
とはいえ、現場の仕事や、そこで働く方々の苦労や番組にかける思いに直接触れなければ、一人前のプロデューサーにはなれないと感じていました。
そこで、内定者アルバイトでしたが、制作会社で働かせてもらえるよう上司に打診したのです。
戦略的にアクションを取っていたわけではありません。
ただ、好奇心の赴くままに行動し、「こうあるべき」という自分の考えに従っただけです。
1世代上の選考に潜り込んだのは、どうしても「ABEMA」で働きたかったからです。
制作会社に出向を申し出たのは、一人前のプロデューサーになりたかったからです。
「周りがこうしている」とか、「一般的にはこうする」とか、そういった考え方をすることはしませんでした。

運が良かったのもありますが、自分の気持ちに正直に行動してきたことは、その要因の1つだと感じています。
多くの学生は、就職活動が近づくと、紙面上の自己分析を行い、入社したい企業に合わせるように、志望動機を練り上げていきますよね。
少しトゲのある表現に聞こえるかもしれませんが、ずっと「そんなのイカサマだ」と思っていました。
先輩や友人の話を聞いていても、自分がやってきたことをかき集めて、経験に優劣をつけながら、それっぽい話を用意しているように感じていたのです。
大前提として、「やりたいこと」がないのではなく、きっとまだ見つけられていないだけだと思います。
だって、「なにに対してもワクワクを感じない人」なんて、いないはずだからです。
それに、「やりたいこと」は仕事だけに限りません。
例えば、「家族と楽しい時間を過ごしたい」「お金持ちになりたい」といった目標だって、立派なやりたいことです。
具体的にやりたい仕事が見つからなくても、目標を実現できる仕事はたくさんあります。
「やりたいこと」と聞くと、どうしても“崇高な目標”をイメージしてしまうと思います。
でも、要するに、「なにが自分にとって一番大切か」を考えればいいのです。
私にとってのそれは、「日本一のプロデューサーになること」でした。
私の座右の銘は「百聞は一“験”に如かず」です。
あえて「見」ではなく、「験」としています。
小さいときから「何事も自分で経験してから判断したい」と考え、家族や学校だけでなく、外の世界を見るようにしてきました。
出会ってきた人や、経験した出来事の数が多かったので、その分「自分にとって一番大切なもの」を考える材料や機会に恵まれたと思います。
もし今、「自分にとって一番大切なものがわかりません」と後輩に聞かれたら、「自分の興味があることに、1つずつ挑戦していけばいい」と答えますね。
でも、人それぞれですから、私のアドバイスが正解だとは限りません。
自分なりのスタイルが見つかるまで、考えるだけでなく、行動してみることをお勧めします。

早馬:その通りです。
「やりたいこと」に優劣はないですし、それが見つかる時間や、見つけ方にも個人差があります。
ですから、学生時代をフルに使って、自分なりの正解を見つければいいんです。
また、22歳で社会人にならないといけないルールはありません。
留学したり、休学したり、学生生活は自分でアレンジできます。
私は4年間で大学を卒業しましたが、「22歳で今後の人生を決められたら、たまったものじゃない」って思います。
—— これから社会に出る学生に向け、メッセージをお願いします。
就職活動でキャリアが決まるわけではありません。
「新卒入社した企業で、一生働かなくてはいけない」という決まりはないですし、「ファーストキャリアで選択した職業が、一生の仕事になる」とは限りません。
だから安心して、今この瞬間の自分の心にウソをつかずに、キャリア選択をしてください。
そのときの自分が「正解だ」と感じた選択なら、それがなんであれ、正解だと思います。

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取材・構成:倉益璃子、取材・編集:小原光史、撮影:遠藤素子、デザイン:岩城ユリエ