「ロールモデル不在の時代」と言われる現代。その実、多くの若者が「やりたいことが見つかりません」と口を揃えます。
やりがいのある仕事にたどり着くためには、どうしたらいいのか——。
野球部のマネージャーからベンチャーキャピタリストに転身した江原ニーナさんは、「違和感を見逃さないこと」と「挑戦している自分を応援できるか」の2つのキーワードを挙げます。
「今一番熱を注げていることはなにか」を突きつめ、大学在学時からインターンをしていた独立系ベンチャーキャピタル(以下、VC)ANRIに入社。
彼女の学生時代に焦点を当てながら、私たちが天職に巡り合うためのヒントを探っていきます。
—— もともと、ベンチャーキャピタリストを志していたのですか?
いえ、想像もしていませんでした。
むしろ、スタートアップとは無縁の大企業への就職を考えていたくらいです。
VCでインターンを始めて数カ月経ってから、いわゆる就職活動をやってみたこともあります。
—— どうして、ベンチャーキャピタリストになったのでしょうか?
まず、就職活動に対して強烈に違和感を覚えていました。
ステレオタイプな考え方かもしれませんが、就職活動のスタートは、自己分析から始まると思います。
自分の過去を掘り下げ、ありたい将来像を考える。
そのうえで、過去と未来をつなぐ架け橋として、入社したい会社を選びます。
でも、「その時々で、一番楽しいと感じられること」を選択してきたので、過去の経験にあまり一貫性があるようにも思えませんでした。
大学1年生のときは野球部のマネージャーをしていて、2年生からスタートアップでインターンをし、3年生になったらキャピタリスト修業をしている。
過去を振り返ったところで、「なんのために頑張ってきたのか」という理由が見つかるわけでもなく、「なぜ自分が御社を志望するのか」を考えても、納得のいく志望理由ができなかったんです。
結局、就職活動をやめて、「今一番熱を注げていることはなにか」と立ち返ったときに、ベンチャーキャピタリストになる道を選びました。
—— 江原さんの目に、ベンチャーキャピタリストという仕事は、どのように映っていたのですか?
世の中の“負”の解決に取り組む仕事だと思っていましたし、今でもそう思っています。
世の中には、まだまだ解決されるべき課題がたくさんあります。
しかし、放置されたままだったり、なんらかの障壁によって解決されずにいたりするものが少なくありません。
ただ、そこに問題意識を持って、解決のために人生をかける人はいます。
「起業家」もその一部です。
VCは、彼らに寄り添い、サポートをし続ける仕事です。
VCでインターンを始めて間もない頃は、「一生この仕事を続けよう」と思っていたわけではありません。
でも、今この瞬間は、私が一番熱を注げることであり、この熱はきっとしばらく消えないんだろうなと直感しました。
そうして一歩を踏み出してみたところ、ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアがスタートしたのです。