事業形態を変えながら進化してきたコンサルティング業界。
中でも、いち早くITシステムの構築とオペレーションを事業の中軸の一つに据えてきたアクセンチュアは、2020年代に入ってさらなる組織変革を進めている。
3月にはストラテジー&コンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズの4つに注力領域を再編し、10月は社内外でさらなるAI活用を進めるべく「AIセンター」を設立。
手掛ける案件の範囲も、データ分析を駆使したマーケティング支援などに広まっており、かつてのコンサルティングのイメージとは一線を画したものとなっている。
AIやデータサイエンスを駆使した新しいコンサルティングを実践するには、どんな経験が必要なのか。
2014年に新卒入社し、現在は新設されたビジネスコンサルティング本部・AIグループでマネージャーを努めている石井舞さんに、自身が経験してきた変化を聞いた。
—— 現在の仕事内容を教えてください。
もともとは経営コンサルティングを手掛けていましたが、今は社内の組織改編で生まれたビジネス コンサルティング本部のAIグループで、データドリブン コンサルティング(DDC)チームのマネジャーをしています。
DDCとは、データを活用したコンサルティングを軸にお客様の成長を支援するチームです。
今、私が担当している役割は大きく2つあって、
【1】クライアント向けにアナリティクス組織の立ち上げ支援
【2】新設されたAIセンターで、社内・外向けのアナリティクス・トレーニングの設計・実施(AIユニバーシティ)、また、クライアント向け分析業務の効率運用(AIセンターオブエクセレンス)
を担当しています。
この2つの業務はリンクしていて、特に【2】のトレーニングは、原則として国内に約1万5000人いるアクセンチュアの社員向けに行っています。クライアントに提供することもあります。
—— アナリティクス・コンサルタントはどんな業務を行うものなのか、もう少し詳しく聞かせてください。
マーケティング部門のブランドマーケターなどに対して、どういうマーケティング施策を立てればいいのかなど、クライアントの課題に対して戦略的アジェンダを立てる仕事です。
データサイエンスからインサイトを見いだし、具体的なアクションプランまで作成しています。
基本的に、私のチームではデータサイエンティスト、AI担当、アナリティクス・コンサルタントが三位一体で動くのが前提となっていて、私が担当するアナリティクス・コンサルはクライアントの窓口になるケースが多いです。
—— プロジェクトでどう役割分担するのですか?
あるお茶の清涼飲料水で、売上を向上させる新たなマーケティング施策を検討するとしましょう。
これまでのコンサルティングでは、過去の売上や各種データを調べた上で仮説を立て、その仮説の優位性を再びデータで検証していくというのが定石でした。
しかし、仮説ありきでは見逃してしまう事実もあります。
仮説検証の前にデータをより詳しく分析すると、お茶のような清涼飲料水が中高年向けに受けるという「思い込み」に反して、ある若者の集団に支持されSNSでも多くシェアされているという想定していない規則性が明らかになることもあります。
データありきで見つけたこうした新事実を、ビジネスに結び付けるために分かりやすく「翻訳」し、実際に施策につなげていくのが私の役割です。