いつも通りに仕事をしている最中に、全く別の職業に就く自分の姿を空想したことはないだろうか?
「やったことがないから」「うまくいかなそうだから」という理由で諦めるのは簡単だが、果たして本当に実現不可能な選択なのだろうか?
法人向けサービス「note pro」のマーケターとして活躍する高越温子(たかこし あつこ)さんは、法人営業としてキャリアをスタートした後、フリーランスとして独立し、未経験だった「事業開発」として入社した。
4月は、新しい仕事にチャレンジする人も多い時期。手持ちのスキルでは補えない仕事に、どう立ち向かっていくのか。高越さんのキャリアから、未経験の異動・転職に必要なスタンスを考えた。
—— まずは、高越さんのお仕事について教えてください。
法人向けサービス「note pro」の、マーケティングを担当しています。
広告配信やイベントの開催を通じてリード(note proに興味のある方の問い合わせ)を獲得し、受注を担当するセールスチームにバトンを渡すのが仕事です。
「どれくらいの予算で」「どれくらいのリードを獲得し」「そのうち何パーセントをセールスチームにつなぐか」を計画し、業務を進めていきます。
—— ファーストキャリアから、マーケティングを担当していたのですか?
いえ、ファーストキャリアはリクルートキャリア(現・リクルート)の法人営業です。
学生時代にブライダル関係のアルバイトをしていたのですが、そこで経験した後輩の育成や人材配置にやりがいを感じており、「もっと組織のことを深く知りたい」と、第一志望で入社しました。
—— リクルートでは、どのような業務を担当していたのですか?
最初は人材紹介の営業職として、転職希望者の紹介をしていました。
塾やデパートなど、よくお客様の現場に足を運んでサービスを観察し、「どんな人を採用するといいのか」を想像していました。
「いろんな企業や組織を学びたい」という入社動機がかなえられる仕事でしたし、やりがいもありました。
特に印象に残っているのが、自分の提案で役に立てた経験です。
「100人面接して、1人採用できるかどうか」という、営業職の採用に苦戦しているお客様を引き継いだときのこと。
過去の資料やデータを全部見直し、入社後に活躍している方の共通点を探すと、「営業経験は重要ではない」ということに気がつきました。
そこで、「学生時代の部活動など、何かをやり遂げた経験に着目し、ポテンシャルを重視して面接するのはどうか?」と提案します。
最初は受け入れてもらえませんでしたが、エビデンスを頼りに何度も提案をしたところ、最終的には「10人面接して、1人採用できる」状態になり、採用率は10倍になりました。
お客様には「高越さんに担当してもらえてよかった」と言っていただくことができ、介在価値を感じられて本当にうれしかったです。
それ以来、「事実を根拠に課題を解決する仕事」に強い興味を持ち、営業企画職にジョブチェンジ。
リクルートでは、法人営業、営業企画、サービス企画と、3つの職業を経験しました。