Goodpatchの藤原彩さんは、クライアントのデザインパートナーとして、新規事業立ち上げやブランド構築をサポートする「Design Division Experience Design Unit」でUXデザイナーを担当する社会人4年目。
プレーヤーとしてだけでなく、チームを束ねるマネージャー、そして講師を務めるなど活躍する藤原さんだが、もともと「キャリア意識が低いタイプだった」と学生時代を振り返る。
キャリアの早い段階から目標を持つ同級生にコンプレックスを抱いていた彼女は、いかにして自分らしいキャリアを築いたのか。
「焦りを素直に受け入れ、好奇心に従った」という学生時代のエピソードを振り返りながら、天職に出会うためのヒントを探っていく。
—— 学生時代から、UXデザイナーとして働くことを志していたのでしょうか?
いえ、思ってもみませんでした。
私は学生時代に「まちづくり」を専攻していて、学んでいた内容は社会学や文化人類学に近い学問です。
当時は自分の専攻が「デザイン」につながるとは想像していませんでした。
また、卒業生の多くは、地方銀行や市役所で働いています。
UXデザイナーとして働いている先輩を見たことがなかったですし、そもそもそうした職業があることさえも知りませんでしたね。
—— ではなぜ、UXデザイナーとしてのキャリアを歩むことに?
全てのきっかけは、親友が海外留学をしたことです。
私が所属していた北九州市立大学は、実学に力を入れていたり、起業家育成プログラムが用意されていたり、カリキュラムに特色があります。
キャリア意識の高い学生が、多数在籍していました。
一方、私とその親友は、どちらかといえばキャリア意識の低いタイプでした。
“自分を持っている同級生たち”を尊敬していましたが、同じように夢を追う勇気はなく、「なかなか“あっち側”には行けないね」という会話をしていたことを鮮明に覚えています。
でも、ある日突然、友人が「留学することにした」と言い出したのです。
昨日まで“こっち側”にいたはずの彼女が、いきなり“あっち側”に行ってしまう。
「そうなんだ」と気丈に振る舞いましたが、内心は「自分だけが、自分の人生について真剣に考えていない」という焦りでいっぱいでした。
とはいえ、焦っているだけでは、なにも始まりません。
親友につられるように、私も将来について真剣に考えはじめました。
でも、考える材料となる経験も知識もないので、なかなか答えが出ません。
そこで、まずは将来について考えられるだけの経験を積もうと、彼女と同じタイミングで休学を決意し、長期インターンに挑戦すべく一人で上京しました。