氷の呪文だけじゃアカンで!「ドラクエ」に学ぶキャリアの積み方

氷の呪文だけじゃアカンで!「ドラクエ」に学ぶキャリアの積み方

    忙しい毎日で、会社と家の往復ばかり。もう少しインプットしたいけど、スマホを見るとついSNSやゲームでダラダラ時間を溶かしてしまう……。

    ビジネスパーソンのみなさんが「定時までに帰れること」をサポートすべく、業務効率化やキャリアアップに役立つ新刊ビジネス書の著者をお招きして、今日からお仕事にちょっと役立つノウハウやTipsをインタビュー。

    ポッドキャスト番組「定時までに帰れるラジオ」(#テイジラジオ)の一部をダイジェスト版でお送りします(1月29日配信)。

    目次

    キャリアはドラクエ?氷の呪文だけじゃラスボスは倒せない

    野上:前回に続き、ゲストは『嫌な仕事の断り方』の著者、山本大平さんです。1回目のテーマは「嫌なことすな!」でしたが、2回目は「キャリアはドラクエ?嫌な仕事があなたを救うとき」というテーマでお送りします。

    F6 Design株式会社 代表取締役 山本大平

    山本:ドラゴンクエストを知らない方もいらっしゃると思うので簡単に説明しましょうか。ドラクエは日本を代表するRPG、魔法使いや戦士、僧侶などいくつかの職業があって、パーティの一員として協力してボスを倒していくゲームですね。

    キャリアという文脈で話をする時には、魔法使いで例えるとわかりやすいです。魔法使いはいろいろな呪文を覚えていかないと強い敵は倒せません。

    氷の呪文「ヒャド」が前の敵に効果があって「やった!」となっても、次のステージは相性が悪くて効果がなく、炎の呪文「メラ」が必要になります。最終的にラスボスまでいくと、いろんな呪文を多用しないと倒せないんですね。

    氷の呪文だけじゃ勝てない!「ドラクエ」に学ぶキャリアの積み方
    Meilun / GettyImages

    これはキャリア形成においても言えることだと思っています。例えば、会社に所属しているといろいろなタスクがふりかかってきますが、大きな仕事をするとなると、自分自身もより多くの呪文を唱えられないとうまく立ち回れない。いろんな呪文を覚えて経験値を貯めていかないと、という話ですね。

    “職人”になりすぎないバランス

    野上:この話をキャリアに当てはめると、1つのことを突き詰めてやっていくのがもちろん大事な時期もあると思うんですけども、それだけだとキャリアを重ねていく中でどこかで壁に当たっちゃいますよ、ということなんでしょうか。

    関連して本の中で、「1万人中1番よりも、1000人中1番の仕事を組み合わせた方がいいんじゃないか」という話がありましたよね。

    山本:そうですね。昔であれば「職人」を求めるのも一手だったと思うんです。ですが、今は時代の変化がすごく早いです。例えば今生成AI系の仕事ってかなりバズってるんですよ。ChatGPTは今年の春ぐらいにバズリ出したので、生成AIの使い方を熟知してる人は少なかった。でも、多分2年も3年もしたらそれはなくなると思います。

    もちろんゼロにはならないんですけど、それを極めたとしても、次また違う技術が必要になってくるんです。そうしたときに、あんまり追いすぎると、時代ごとにある技術のトレンドによって淘汰される可能性があります。

    野上:専門性を追いすぎると動きにくくなる。

    山本:おっしゃる通りです。例えば、野上さんが日本刀を作るのがめちゃくちゃうまい鍛冶屋だったとします。それはそれで素敵なことなんですけど、需要はどうですか?

    氷の呪文だけじゃ勝てない!「ドラクエ」に学ぶキャリアの積み方
    FrancescoCorticchia / GettyImages

    これが江戸時代、あるいは戦国時代だったら、野上さんは全国各地から引っ張りだこで、家康や秀吉に呼ばれていたかもしれません。でも今は江戸時代じゃないので、野上さんにしか作れない日本刀が作れたとしても買ってくれるお客さんの母数って圧倒的に少ない。言ってしまえばダウントレンドですよね。となると、今はその一点突破は難しいという話です。

    その仕事、ほんとに断ってもいいの?

    野上:そうすると自分の「これが得意だ!」とか「これをやってきた!」以外の仕事も、ある程度やっていかないと覚えていかないんじゃないかと思うんですね。

    今回の本のタイトル通り、嫌な仕事を全部断ってしまうと、なかなかそういう出会い、セレンディピティみたいなものがなくなってしまう……。

    山本:まさにおっしゃる通りでして、この本で伝えたいのはそういうことなんです。『嫌な仕事の断り方』という表紙を見たら、断り方のテクニック本だと思いますよね? でも実は、「本当に断っていいの?」という問題提起をしたい1冊なんです。なぜなら、嫌だと思ってたことが、自分の身を助けることもあるから。

    野上:なるほど。山本さんご自身もトヨタ、TBS、アクセンチュアと複数の会社に勤めてきましたが、「最初は嫌だと思ったけど、やってみると案外よかった」ことはありますか?

    (続く)

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    このあとは、こんな話をしています。

    • 統計学コンペに強制参加で気づいた「食わず嫌いの仕事」

    • 受験と仕事の大きな違い

    • 時代のトレンドを「とりまやってみる」





    (文:鍬崎拓海 デザイン:高木菜々子 編集:山崎春奈)