2023年は、「転職で給料が増えた」人の数が過去最高を更新(リクルート調べ、2023年7〜9月)したことが話題になりました。自分も転職で年収アップを目指したい、ゆくゆくは年収1000万以上の高収入に…と夢見るビジネスパーソンも多いはずです。
しかし転職エージェントの高野秀敏さんに若手の“年収アップ転職”の実情を聞くと「20代で年収アップにつながる人はごくわずか」と話します。さらに「将来的に高収入を目指すのであれば、20代で年収アップを目指すべきではない」と断言しました。
その発言の真意は何なのか、高収入を目指したい20代に向けて「今やってはいけない」NG行動を10のリストにまとめて教えてもらいました。
転職で年収が上がる人が増えたというデータに対して「実際に20代でそれほど年収が変わる人はいないのでは、と感じています」と高野さん。若手層の“年収アップ転職”の実情について解説してもらいました。
高野「もちろん元々の給与水準が高い大企業に行ったり、どこの企業も欲しがる優秀な人材であったり、もしくは現職の給料が相場よりも著しく低い場合などは、転職で年収が上がる可能性は高いです。
そして年間で10万円程度のアップであればいないこともありませんが、年収が100万円上がるようなケースはほぼないと言っていい。100万円も上がるなら世の中の若手は転職する人だらけになってしまいますが、実情はそうではないですよね。
それこそ超即戦力で、すでに自分の営業ルートを持っている人が同業他社に転職してすぐに売り上げに貢献できるケースなどであれば可能ですけれども。実際に20代でそこまでの貢献を証明できる人は少ないはずです」
一方で転職したら必ず年収アップできるはず、と考える人は少なくないのも事実。年収アップ転職が幻想なのだとしたら、高収入を目指す20代のビジネスパーソンにはどのようなアクションが求められるのでしょうか。
高野「私としては今20代のビジネスパーソンが、例えば年収1000万以上を目指すとするなら、30代、40代になった時の年収を考えられる環境に身を置くのがいいと思います。
私自身も元々は当時小さな会社の営業で、もし他に内定が出ていた大手企業やコンサルに行っていたら、新卒入社での給料はもっと高かったでしょう。ただ若手時代にあえて自分が成長できる環境に入ったことで、その後起業をして、27歳頃には年収はSO含め1500万円を超えていました。
将来的にお金を稼ぎたい、資産を作りたいなら、若手のうちは将来のための投資ができる仕事をすべきというのが本音ですね」
20代は目先の利益に囚われるのではなく、将来を見据えた行動が結果的に年収アップにつながる、と話した高野さん。では「将来を見据えた行動」とは具体的に何を指すのかを問うと、次に挙げる10項目を「20代の今、絶対にやってはいけないこと」だと教えてくれました。
年収アップに求められる“長期的なキャリア構築”の視点
インタビューで繰り返し語られたのは、将来的な年収アップのために若手時代から「結果に繋がるアクション / 思考」を持つことの重要性。若手の特権とも言える、周りからの応援や協力、チャレンジの土壌を上手く活用しながら結果を出し、仕事で得られる経験を“キャリアの資産”に変えていくという視点です。
高野「今、年収を上げるぞと意気込んで転職活動をすると、理想の企業に出会えずがっかりしてしまう人も少なくないはずです。長い目で見たら年収アップに繋がる、自分が結果を出せる場所はどこなのか。そんな風に長期的な視点でキャリアを作っていく考え方を持てるといいと思います」
(文:於ありさ、デザイン:高木菜々子、編集:井上倫子)