富士通で働く居城貴大さんは、安全保障に関わる部門で海外への輸出ビジネス開拓を行う「ナショナルセキュリティ事業本部」で、営業を担当する社会人4年目。
「今でこそ納得できるキャリアを歩めている」と語る居城さんだが、大学受験に失敗し、第1志望の大学に入れず、悩んだ過去を持つ。
就職活動では「自分のエントリー画面にだけ、参加資格が与えられていなかった」こともあるそうだ。
ではなぜ、第1志望の会社に入社し、自分らしい仕事に巡り会うことができたのか。
「今までなにをやってきたかよりも、これからなにをやるかの方がよっぽど重要です」と話す居城さんの学生生活を振り返り、学歴や所属にとらわれず活躍するためのヒントを探っていく。
—— 居城さんの大学生活は、「挫折からスタートした」と聞きました。
大学受験に失敗してしまい、僕の大学生活は失意からスタートしています。
いくつか合格した大学もありましたが、物理的な距離から通学が難しかったり、そもそも志望していなかった大学に大変な思いをして通うことに納得がいかなかったり。
浪人も含め、改めて進路を検討し直しました。
しかし最終的には、地元から距離が近い産業能率大学に進学しました。
それまでは名前も知らない大学でしたが、キャリア教育に力を入れていることを知り、自分の頑張り次第では、充実した大学生活を送れるのではないかと考えたのです。
—— 進学してみて、挫折感やコンプレックスは解消しましたか?
今となっては馬鹿馬鹿しいと感じますが、入学後もコンプレックスを拭うことができず、大学に通いながら受験勉強を継続して、再度大学受験しようと試みていました。
いわゆる、仮面浪人です。
僕の友人の多くは、いわゆる難関大学に進学していました。
僕はそれらの大学に不合格で、彼らと会うたびに悔しい思いをします。
一刻も早く、その呪縛から解き放たれたいと頭を抱えていましたね。
でも、最初の夏休みを迎えた頃には、仮面浪人をやめました。
「コンプレックスがなくなった」といえば嘘になりますが、いつまでもコンプレックスに縛られている自分が情けなくなったのです。
—— なぜ、心情に変化が起きたのでしょうか?
2つの理由があります。
1つは、同じ大学にも、さまざまなバックグラウンドを持つ人がいたことです。
大学を辞めて再入学してきた人、国立大学に落ちて入学してきた人、すでに自分で事業を立ち上げている人。
彼らを見て、自分だけがコンプレックスを持っているわけではないし、置かれた状況で努力することの大切さを思い知りました。
2つ目は、高校の同級生たちが、どこに進学しようと一様の学生生活を送っていたこと。
彼らが卒業後に自分の入りたい企業に入社して活躍していくのであれば、大学生活に真剣に打ち込めば、学歴の差を逆転できるのではないかと気持ちを切り替えられたのです。
安くない学費を払い入学したのに、機会を無駄にするなんて、もったいない。
やるからには全力を尽くすべきだと考え、「選んだ選択肢を正解にする努力」をしようと決めました。