ビジネスに大きな変革をもたらし始めたAI(人工知能)を駆使して、介護、医療、HRなど、少子高齢化をはじめとした社会課題の解決を構想するエクサウィザーズ。
CEOの石山洸さんは、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2020」で2位を獲得するなど、その存在が注目されている気鋭の起業家だ。
石山さんは東工大大学院で、知能システム科学を専攻。修士過程時代に、金融工学領域のリスクのAIシミュレーション、文系の人でも簡単にAIシミュレーションができるプログラミング言語など、専門であるAI関連の論文を18も書いたという伝説を持つ。
大学院時代の指導教官であった出口弘教授は、経済学と理学両方の博士号を持つという天才肌の学者だった。
その出口氏から「石山さんは天才じゃないから、常に“合わせ技一本”で戦えるようになりなさい」とアドバイスされたという。
もともと大学の学部は商学部でマーケティングを学び、大学院はAIシステムを学ぶという「文理合わせ技」の専攻だったが、リクルートに新卒入社した後は出口氏の教えの通り、強みのAI研究やマーケティングとは異なる多くの仕事にも携わり、職種や領域をまたぐ“合わせ技一本”と言えるような形で巧みに業績を出してきた。
そんな石山さんは、紆余曲折を経て、どのようにして社会課題をAIで解決するという時代の先端を行くビジネスをリードする起業家になったのか。
そこには、人を食わず嫌いせず楽しく真剣に付き合うことで、自らの知識、興味、領域を広げていくという、巧みなキャリア形成術があった。