日立とパナ「10年前、まさか協力するとは」 新卒採用にコラボで先手

日立とパナ「10年前、まさか協力するとは」 新卒採用にコラボで先手

    企業が採用したい就活生らに早くからアプローチして内々定を出す「青田買い」は、暗黙のルールでかねてからありました。人手不足で働き手が優位の売り手市場のいま、さらに前倒しで大学1年生に企業がアプローチしています。

    まだ働くイメージを持てていない時期から、「働くって?」という就労観を手取り足取りで育てていき、いずれ芽が出てきたら──。「青田創り」と呼ばれる企業主導によるキャリアの早期育成。ここでは日立製作所とパナソニックといった業界のライバルが、「しばし休戦」の紳士協定を結んでいるといいます。

    伝統企業が「10年前、まさか協力することは想像もしていませんでした」と打ち明ける現場に、JobPicks編集部が取材で入りました。

    目次

    大学1年生から「働くとは?」を考える

    「活躍する卒業生を母校に招き、高校1年生を対象としたトークイベントを実施します」
    「ワークショップを通じて、お互いに働く上で大事にしたい価値観を話し合います」
    夏休みの9月、早稲田大学のある教室で、4つの学生チームが変わる変わるプレゼンテーションをしていました。

    テーマは「次世代を担う大学生の『就労観』を調査し、解決策を提案せよ」。

    じっくりと耳を傾けるのは、日立とパナソニックの人事担当者ら。社会科学部の1年生を対象にした社会人基礎力養成講座「リンクシップ」の様子で18人が参加しました。

    この講座は、ほかに京セラなどが協力して主催。大学1年生のキャリアを育てる「青田創り」と呼ばれています。これまで、のべ約300人が受講しました。

    大学1年生によるプレゼンの様子=早稲田大学

    運営は「エッジソン・マネジメント協会」。人材育成などを手がけるリンクアンドモチベーションを中心に、産官学の垣根を超えて設立されました。協力企業は、日立やパナソニック、京セラ、清水建設の4社。いずれも学生人気が高く、国内の製造業を引っ張ってきた企業です。

    5日間のプログラムはリンクアンドモチベーションの講師による座学に始まり、1チーム4〜5人で、働くことへの理解や役割、意義を認識する「就労観」について考えました。同世代にもヒアリングやアンケート調査をします。

    この段階で上がってきたのは、「お金を稼ぐため」「自分の夢を実現するため」といった様々な声。

    こうして集まった意見をもとに、メーンテーマである「では、主体的に働くためにはどうしたらいいのか?」を後半に考えて、最終プレゼンに移ります。卒業生を母校に招いたトークイベントや理想の働き方を出し合うワークショップなどを提案しました。

    発表後、日立やパナソニックの人事担当者ら3人が、1チームずつ、15分のフィードバックを返します。学生たちの目線でみていた「働くモチベーション」に、社会人の知見を組み合わせる場になったようです。

    多くの学生が就活を本格化させる学年ではなく、入学間もない1年生を対象にしている理由について、協会の樫原洋平理事長に聞きました。

    樫原洋平 理事長

    多くの学生は、両親の働きぶりだけを見て「大変そう」と感じています。仕事をネガティブに捉えてしまっている学生が多いので、講座を通じて、楽しく働いている大人の姿を知ってもらうことが責務だと考えています。