イーロン・マスク氏が話題です。技術的な理解をもとに事業を次々に開発する姿は、賛否あれど、社会や未来にイノベーションをもたらしています。
ユニークな働き方をする次世代の担い手たちに、15分間のインタビューをする動画番組「働くっていいかも!」。
第2シリーズで注目したジョブ(職)は「研究開発職」で、未来の社会を創る5人の研究開発者にインタビューしました。全自動歯ブラシロボットや空飛ぶクルマなど、実用化が間近な「次の時代を創る」プロダクトも次々に登場します。
研究開発職とは:
新しい製品や技術、サービスを創ったり、革新的な解決策を作りだしたりする職種です。医薬品や情報技術、エネルギー、食品、環境、宇宙など各分野で活躍するプロフェッショナルは、科学的知識と技術を土台に、実験とデータ分析、評価を行います。プロジェクト管理のスキルも必要で、組織や産業界で技術的なリーダーシップを発揮。今後、重要性がますます高まるとされます。
ミズノ「職場キャッチボールは遊び?」入社で見た開発との境界線
岡村さんは、早稲田大学大学院で創造理工学研究科の博士課程を修了後、ミズノ株式会社のグローバル研究開発部の人間拡張研究開発課で働いています。
具体的なプロジェクトとしては、「義足用カーボン製板バネ」や疲れにくい「ウォーキングシューズ」などの専用器具の開発、五十肩を回復させる「運動プログラム」の研究など。ケガや加齢でスポーツをあきらめざるを得ない人々が「生涯現役」で活動できる社会の実現を目指しています。
インタビューでは、職場で同僚たちがミズノ製品を手にキャッチボールやラケットの試打をする光景を話してくれました。「遊んでいるのか、仕事でやっているのか一見するとわからない」ところが何とも楽しいのだとか。
大学の研究室とのスピード感の違いについても明かしてくれました。
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仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
ザ・公私混同
自分の欲しいものを自分でつくれるとき。
仲間が欲しいものを仲間と一緒につくれるとき。
趣味が仕事になる、好きが仕事になる、そんな業界だと思います。
スポーツを楽しむ当事者として、自分や身の回りの人が欲しいものを自分の手で作り上げていく、それが自分も目の前の人もハッピーにしてくれる現場に常に立ち会えます。
試作品を最初に実験で試すのは自分自身。得たい効果が体感できた時の喜びは格別ですし、思いもよらない失敗があっても好きなスポーツに対す...
る新たな発見が増えるのはおもしろいです。
自分自身の楽しい・嬉しいを追究していくうち良い商品がうまれていく、公私混同してのめりこんだもん勝ちのような働き方ができる職場です。
ispaceロボ開発者「AR/VRで宇宙を当たり前に」と起業
漫画アニメ「鉄腕アトム」のお茶の水博士がロールモデルだと語る田中さん。早稲田大学大学院で「自律移動型ロボット」の研究をし、宇宙スタートアップ企業「ispace」で月面探査ローバーを開発。その後、VR/AR技術で宇宙体験を提供する「amulapo」(アミュラポ)を自ら立ち上げました。
amulapoでは、ARゴーグルをかけて月面探査しているかのように夜の鳥取砂丘を散策する実験を実施。宇宙の食・建築・アクティビティなどを展開する「宇宙ホテル」を2027年に向けて開発中です。
インタビューで、ひとたび宇宙開発の話になると、熱量が止まりません。国際競争を繰り広げてきた歴史のなかで、「宇宙飛行士に限らず、人類が地球の重力を脱するまたとないタイミングに立ち会っている」と田中さんは言います。
賛否あるイーロン・マスク氏ですが、「技術者からの起業家が今後ますます増える」と、研究開発職にも重ねて展望を語りました。
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仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
常時楽しく、自身の成長を感じられる仕事
やりたいことを仕事にできているため、常に楽しみながら仕事ができている。感覚としては、平日含め趣味の時間が続いているが、それが金銭を伴う仕事として成立してきている状況。人生の中で仕事に従事する時間が多くの割合を占めていると考えると、やりたい仕事をして過ごせている現状にとても満足をしている。同時に、このような環境で仕事ができる状況は限られていると感じ、博士課程を含めてこれまで自身の技術・経験を積み重ねてきた過去の自分自身と、常に活動を応援を...
してくれる周囲の関係者の皆様のおかげだと感謝している。
会社は創業期でもあり苦労をすることも多いが、1つ1つが経験として自身の成長につながっていることが実感できる。もともと研究者・技術者出身のため経営の知識が少なかったが、実践で学びながら自分なりのノウハウができてくる実感があり楽しんでいる。毎日課題に向き合い、毎回苦労を乗り越えていく必要があるが、それらの達成感を感じることができる。未知の困難にもめげずにずっと向き合える人には向いている職業だと感じるが、逆にそうではない人にとっては辛いだけの職業かもしれない。
博士課程で起業 「手を使わず歯を磨く」全自動ロボ、もう実用化
栄田さんは、早稲田大学大学院でGenics(ジェニックス)を立ち上げ、「次世代型全自動歯ブラシ」を開発しています。研究室メンバーと「日常的な面倒くさい行動」についてブレストした結果、「全人類の社会課題」として歯磨きに注目しました。
口にくわえるだけで自動的に全ての歯を磨くことができ、ファーストカスタマーは、上腕障害や老化で歯磨きに苦労している人たちだといいます。ビジネス面では今後、「国民皆歯科健診」も追い風となります。
学部時代に「自分が博士に進むとは想像もしてなかった」。いまはビジネスと研究とを行き来することの意義や可能性を感じ、次世代のロールモデルにもなりつつあります。
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転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
『選択の科学』シーナ・アイエンガー
この本を見つけたのはコロナ禍に入った頃で、私自身も選択肢が限られている中でどう動くべきか決断を迫られていました。心に残っているのは、『選択とは発明である』というフレーズ。いろいろな選択肢を組み合わせ新たなものを作るという発想は、勉強になった。
新しいことにチャレンジすることは、日々選択をすることになるので、選択とはどういうことなのを考えてみるのも非常にいいのではないかと思う。
ある物事をやるにも決断が必要、やらないにも決断が必要と...
いう状況が生まれるので、実は誰かに決めてもらった方がいいのではという場面もあったりするので、選択とどう付き合うのかを一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
日本発、空飛ぶクルマの国際コンペで唯一受賞。LAから第一顧客
2018年にテトラ・アビエーションを設立した中井さん。開発するのは、垂直に離着陸する電動垂直離着陸機「eVTOL(イーブイトール)」です。2023年内にテスト機を提供し、2025年の大阪・関西万博をみすえて実用化を目指しています。
規制が厳しい日本ですが、第一顧客はアメリカ西海岸から。機能性や安全性のフィードバックを受けながら、「サイクルが約30年おきにくる」と言われる航空業界でのイノベーションを起こそうとしています。
開発に進んだきっかけは、国際的なコンテストを偶然X(旧Twitter)で見つけたこと。さらに操作はゲーム感覚のジョイスティックで、「Instagram(インスタグラム)を見るように行きたい場所に気軽に行けるようにしたい」とインタビューで話しました。
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転職や就活で、この職業を目指す未経験の方におすすめの書籍は何ですか?理由と合わせて教えてください。
『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』田川 欣哉
技術職として働くうえで、自らの技術的知見のみならずそれをどう他の分野に伝えていくのか、何をイノベーションと考えるのかについて気付きを与えてくれる1冊。
空飛ぶクルマの開発はまだ市場もなく、どのようなものが求められているのか明確になっていません。そのため、未来へのあらゆる想定を開発段階でも頭の片隅に巡らせる必要があります。
一方で、航空機開発はとても夢がある分野です。
未来のお客様がどのような要望で空飛ぶクルマに乗りたいと思うのかをデザ...
イン的思考を持ちながら技術革新に一人一人が意識するための考え方の気づきとなる1冊です。
テトラ・アビエーションでは従業員が自由に技術関連書籍を購入できる制度があり、従業員は自らの判断で書籍を購入しています。
元グリコ研究員「腸内細菌」のマンツーマン指導に駆け込む経営者
妊婦や経営者、さらには芸能人の間でも注目されて広がる「腸活版ライザップ」を手がける菅沼さんは、bacterico(バクテリコ)を立ち上げました。
高校時代に「予防」に関心を抱き、新卒ではグリコに入社しました。インタビューでは、研究が商品開発に結びつく2つのプロセスをわかりやすく解説してくれました。
起業家育成プログラムへの参加やシリコンバレー研修など、活動の幅は事業やグローバルに。「世界中の人々に健康と幸福を提供したい」というビジョンを明るく語ってくれました。
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仕事の中で、最も楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
経験者Suganuma Natsuki
株式会社bacterico
あなたの笑顔を見るために
ひとりひとりの腸内環境は全く違います。
ヒトの腸にはおよそ1000種類、40兆個にも及ぶ腸内細菌が生息してると言われていますが、そんな腸内細菌は、お母さんから子どもへと受け継がれたものです。
近年では妊婦さんの腸内環境が、生まれてくる赤ちゃんの健康に影響することもわかってきています。個別化予防の中でも、今はとくに妊婦さんに注力して、検査や個別栄養指導のサービスを届けています。
サービスを受けてくださった妊婦さんから、「無事に産まれまし...
た!」と幸せそうな笑顔のお母さんと、可愛い赤ちゃんの写真をいただくことが多くあります。
そんな時「この人たちの笑顔を見ることができて、私も本当に幸せだ」と、仕事へのやりがいを感じます。
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(文:池田怜央、映像編集:長田千弘、デザイン:高木菜々子、編集:野上英文)