「この仕事は向いてないかもね」 インターンの帰り道、涙がこぼれた

「この仕事は向いてないかもね」 インターンの帰り道、涙がこぼれた

    25年卒のサマーインターンが終わり、秋インターンが本格化。早期選考を始める企業が増えてきました。この時期、「走り疲れ」でモチベーションが低下する時期でもあります。

    JobPicksインターン生がつづる就活生日記。今回は20社ほどのサマーインターンの荒波を乗り切った、心の内を打ち明けます。「この仕事は向いてないかもね」と言われ、不甲斐なさからふいに流れた涙......。そこからまた、どう前を向いたのか。

    目次

    就活生日記♯07 インターンでモチベ下落 立教大学文学部3年 髙栁綾

    サマーインターンを終えて

    ある日、予定を書き込もうと手帳を開くと、印刷されたかぼちゃのイラストに違和感を覚えました。日付を見てみると、10月だったことにびっくり。

    「もうそんな時期?」

    大学から秋から、授業も再開しました。3年生になったばかりだと思っていたのに。授業で友人たちと顔を合わせると、みんな疲れた表情を浮かべています。

    「就活やってる? 私、やばいんだけど」

    誰かが口火を切ります。

    就活生日記♯07 インターンでモチベ下落 立教大学文学部3年 髙栁綾
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    その一言で、場の空気は一気に重くなります。ただ、心のどこかで、みんなその話題を口にすることを待ちわびていたようでもあります。近況報告で不安を解消したい気持ちからかもしれません。

    大学3年の秋。就活の状況は人それぞれです。

    私はサマーインターンに20社ほど参加しました。最近は秋と冬のインターンに応募するほか、サマーインターンを通じてつながった企業の早期選考を受け始めています。似たような状況もあれば、内定を既に得ている人もいます。

    一方、インターンに一社も参加していないと言う友人や「就活は現実を見つめるのが怖くてほとんど始めていない」と打ち明ける友人もいます。

    比べる必要がないのは頭ではわかっていますが、自分よりも就活を頑張っている友人を目の当たりにすると、つい比べてしまって、焦ってしまいます。

    会社員さながらに振る舞うインターン生の姿も

    この夏休み、就活に相当な時間を費やしました。

    直前までは業界や企業を絞りきれず、とりあえず業務内容に関心を持った企業のインターンに片っ端から参加。そこで周囲の学生と自分を比べる日々を過ごしました。

    グループワークでは、会社員さながらの振る舞いでコミュニケーションを取る学生たちを目の当たりにしました。

    倍率の高いインターンで見渡せば、自分よりも偏差値の高い大学の学生が大半を占めていました。自己紹介で難関大学の名前を堂々と口にしている人がいるなかで、私は笑ってごまかしながら自分の大学名を言えなかったこともありました。

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    社員に言われた「この仕事は向いていないかもね」

    あるインターンでは、グループワーク後に現場で活躍している社員から直接フィードバックをもらいました。

    「真面目で優秀なのは伝わるけど、それだけ。真面目すぎて余裕がないように見えたよ」

    「頑張りすぎない方がいいよ」

    「この仕事は向いてないかもね」

    私は自分の強みについて、ちょうど悩んでいた時期でした。弱みを指摘されたことで、何か張り詰めていた糸が切れてしまったような感覚がありました。

    未熟な自分が悔しくて、情けなくて……。帰りの電車でスマホをいじりながら、ふと涙がこぼれました。

    振り返れば、オンとオフのメリハリもできない状況でした。

    SNSをみると、海外旅行を楽しんだり、祭りの打ち上げ花火で盛り上がったりしている友人たちの様子が目に留まりました。大学生らしい夏休みに、やる気が一気に削がれる感覚もありました。

    就活に没頭している間に、疎遠になった友人もいます。

    「私が本当に大切にしたいものって一体何なんだろう」「何をしているんだろう」「なぜ頑張っているんだろう、大して優秀でもないのに」......。眠れない日が続きました。

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    就活仲間の友人と切磋琢磨で気分転換

    インターンが落ち着いてくると、モチベーションも下がり、9月のはじめは、秋インターンのエントリーシート作成やWEBテストの勉強が進まない日々が続いていました。

    そんな中、この状況をなんとか脱しようと、就活を頑張っている友人たちと面接練習をしたり、一緒にWEBテストの勉強をしたりするようにしました。自分のモチベーションが自然と上向いていることに気がつきました。

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    「まだまだ先は長いし、こんなところで落ち込んでいたら長い就活は乗り切れない」。今はそんな気持ちで日々を過ごしています。

    自らの強みとキャリアビジョン

    つらかった思い出を振り返りましたが、インターンに参加して良かった感じる場面もたくさんありました。

    1つ目は、社風とのマッチングの重要性です。

    インターン先を選ぶ時、仕事内容に興味関心を持った企業を中心にエントリーをしていました。それらの企業のインターンに実際、参加してみると「なんとなく違うかも」と感じるケースがいくつかありました。

    社員もすてきな方で、業務内容も魅力的……。でも、自分が働くイメージが持てなかったり、自分には働き方など合わなさそうと感じたり。このなかには「ずっと行きたい」と思っていた企業も含まれており、参加した収穫でした。

    就活生日記♯07 インターンでモチベ下落 立教大学文学部3年 髙栁綾
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    2つ目は、自分の中の興味のあるなし、が以前よりも明確になったことです。

    それまで「興味の持てる仕事に就きたい」「いろんな価値観を持ち合わせた人と話す機会が多い仕事がしたい」と考えていました。

    それがインターンを通して、自分の就活の軸のようなものが少し具体的になりました。

    「人と人をつなげる場づくりをしたい」「働く人を支える仕事がしたい」

    秋、冬のインターンを通して、さらに将来の方向性の解像度を高めていければと考えています。

    就活生日記♯07 インターンでモチベ下落 立教大学文学部3年 髙栁綾
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    3つ目は自分の意外な強みが一つ見えたことです。

    インターンでは採用担当者や他校の学生など、多くの人たちに出会いました。ほとんどが初対面です。

    その中で印象に残ったことがありました。グループワークで一緒だったほかの学生から「なんだか幼なじみと似てるかも」「初めて会った感じがしない」と、「話しかけやすさ」についてほめてもらえる機会がとても多かったことです。

    これまで、あまり意識していませんでした。

    一つの強みになるのではないか。将来どのようにビジネスの場で活用できるだろうか、最近はそう考えています。

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    就活を頑張る理由

    自分を見失いそうにもなった夏、これまでの人生を見つめ直す機会ともなりました。

    個人的に、就活を頑張る目的は、自分にとって納得できる仕事を見つけることだと今は思っています。はじめは「なんとなくホワイト企業で働ければいいな」くらいの意識でいましたが、ホワイト企業の定義をはじめ、その考えもだんだんと変わってきました。

    焦りすぎず、自分のペースで頑張ることができればと思っています。

    (文:髙栁綾 デザイン:高木菜々子 編集:比嘉太一、野上英文)