「副業」の言葉を見聞きする機会が増えました。では、副業を実際にしている人の割合は? パーソルホールディングスが実施した全国10万人調査では13%だと発表されました。
若い男性ほど「副業率」が高い傾向も明らかに。「収入を増やしたい」「スキルアップさせたい」という前向きなマインドが後押ししています。一方、公務員や金融業界は二の足を踏んでいる実態も。調査データを元に現場の声を拾いました。
「副業」の言葉を見聞きする機会が増えました。では、副業を実際にしている人の割合は? パーソルホールディングスが実施した全国10万人調査では13%だと発表されました。
若い男性ほど「副業率」が高い傾向も明らかに。「収入を増やしたい」「スキルアップさせたい」という前向きなマインドが後押ししています。一方、公務員や金融業界は二の足を踏んでいる実態も。調査データを元に現場の声を拾いました。
パーソルホールディングスが実施した「はたらく定点調査」によると、本業と副業をしている人の割合は全体の13%です。
年代別でみると、若い世代の男性ほど副業している人が多く、20代(17.6%)と30代(16.2%)でした。一方、女性は20〜60代のどの世代も約11%〜12%と一定の割合でした。
副業率が高い業種別でみると、「農業、林業、漁業、鉱業」が23.1%と最高に。一次産業で働く人たちが、副業をする割合が多かったです。
一方、副業率が最も低い業界は「公務」で8.1%、次いで「金融業、保険業」が8.9%という結果になりました。
地方自治体で公務員をしている男性(33)は取材に、「公務員は原則、副業が禁止されています。リスキリングが世の中で注目され、行政も旗振りをするなか、公務員も副業を認めるべきではないでしょうか」と話しました。
「やはり将来、キャリアや働き方がどうなるか分かりません。本業以外の副業でしっかりとスキルを高めつつ、自分のキャリアアップにつなげる選択肢を持てるように誰もがなればいいと考えます」
公務員に次いで、副業率が2番目に低い金融業界からの声も聞きました。
地方銀行に勤める男性行員(30)は「会社に副業制度はあるのですが、実質、副業をすることが難しい職場の雰囲気と環境です」と打ち明けます。
この地銀では3年ほど前、「銀行も多様な働き方を認めるべきだ」という理由で副業が制度上は解禁されたといいます。
ただ、本業での残業時間と副業を合わせて月に25時間以上は定時以外で働いてはいけない規則となっており、副業に割ける時間がありません。
「銀行は閉店後、事務手続きや融資関係の仕事が膨大にあります。定時で帰ることは、まずできません。この状況で副業するとオーバーワークになってしまうので、正直できないです」
「他の仕事を副業でしてみたい気持ちはありますが、本業が忙しすぎて厳しいです」
本業と副業の関係性を業界別でみると、「電気、ガス、熱供給、水道」では約7割の人たちが「本業とは異なる業種」で副業をしている人が多いです。
一方、本業と同じ業種で副業している人の割合が高い業種は、「農業、林業、漁業、鉱業」や「教育、学習支援業」で、それぞれ5割ほどに上ります。
調査の中では、副業している人が副業をしていない人よりも、働くことへの気持ちが前向きな傾向であることも判明しました。
10万人の調査で「ピンチはチャンスだ」と捉えている人は54.5%に上り、そのうち約6割が副業をしていました。また、全体の半数が「ポジティブな性格だ」と回答しましたが、そのうち56.3%が副業をしていました。
パーソルホールディングスは「副業をしている人の本業への満足度は高く、本業へのネガティブな思いから副業を行なっているわけではない」と分析しています。
調査に関して、パーソルホールディングスが運営する転職情報サイトdodaの加々美祐介編集長は、JobPicksの取材に次のようにコメントしました。
加々美編集長:「副業が可能な企業に就業を希望する転職希望者も増加の傾向にあります。厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を策定して副業を後押ししている状況もあり、企業が副業を認める流れは今後、加速傾向にあります」
「会社員にとって収入増だけでなく、人脈や新たなコミュニティの構築、スキルアップなどメリットの多い副業ですが、本業も含めて時間管理は個人に委ねられるため、オーバーワークになる可能性も含んでいます」
「本業と副業、仕事以外のプライベートの時間も含めて、バランスをどう保つかが今後、課題となってくるでしょう」
(取材・文:鍬崎拓海、編集:比嘉太一、野上英文)