男性育休は平均1カ月半。女性の半数以上が「仕事で我慢や支障」
2023年8月1日(火)
パーソルホールディングスが8月1日に公表した「はたらく定点調査」は、全国の就業者10万人(15歳から69歳)に対してオンラインで3月に実施。「はたらく」に関する意識と行動で58項目の質問をたずねました。
このうち、既婚者や配偶者・パートナーと同居している人たちに「家事・子育てにおいて、(家族ら)協力しあえる人がいますか」と問いかけました。
その結果、女性は「自分の仕事を我慢すること」が男性と比べて高く、「不十分で仕事に支障がある」「協力し合える人はいない」と答えた人を合わせると全体の5割を超えました。特に子育てにおいてその影響が高いと考えられます。
(グラフは左から)
・黄色が「家族・身近な人の協力が十分で、仕事にほとんど支障がない」
・赤色が「協力はあるけど、自分の仕事を我慢することが多い」
・緑色が「協力が不十分で、自分の仕事に支障がある」
・青色が「協力し合える人はいない」

特徴をまとめると、次のような結果です。
家事・子育てにおける家族の協力は「十分」と考えている人は男性が6割以上に対して、女性では半数以下にとどまっており、男女の意識差が大きい。
女性では「協力はあるが、自分の仕事を我慢することが多い」との回答が約3割と高く、特に女性30代でそのスコアが高いのが目立つ。
また、「男女とも、キャリアと家事のバランスをとるべきだと思う」と答えた人は、女性が 38.3%に対して男性が24.6%でした。女性の方が男性よりも13.7ポイント高いスコアです。
家事や子育ての協力では実際の行動だけでなく、意識面でも男女ギャップがなお大きい。

厚生労働省の7月31日の発表によると、男性の育休率は昨年度、17.13%と過去最高になったことがわかりました。
前年に比べて3.16ポイント増えましたが、政府が2025年までの目標とする「50%」には遠く及びません。

男性の育児取得率はグラフにある平成24年(2012年)から10年連続で上昇しており、次の3点に国として取り組んできた成果だといいます。
育児介護休業法に基づく制度の整備。特に昨年10月1日からは、取得を強く促す目的で産後パパ育休(出生時育児休業)という新しい制度をスタートさせた。
「イクメンプロジェクト」をはじめ事業主向けのセミナーを開くなど、広報・啓発活動で機運の情勢を図ってきた。
男性の育休を支援する企業に対しては両立支援等助成金を設けた。
厚労省雇用環境・均等局の担当者はJobPicksの取材に「こうした取り組みから、男性の育休取得の機運が一定程度、社会で醸成されてきた」と評価しています。
一方、同じ日に厚労省が発表した企業610社を対象にした男性の育児休業取得率の調査(速報値)によると、男性の育休取得日数は平均46.5日、つまり1カ月半ほどであることも明らかになりました。
企業の規模が大きいほど取得率は高い傾向。中小企業の取得促進も大きな課題となっています。

パーソルキャリアが運営する大手転職情報サイトdodaによると、「男性育休」のキーワードを含む求人は、右肩上がりに増加。こうした求人への応募率は、前年同月比で4倍に伸長しています。
こうした動きについて、dodaの加々美祐介編集長は、取材に次のようにコメントしました。
「男女問わず、育児と仕事の両立がしやすく、働きやすい環境を提供する企業の人気が高まっていることが分かります」
「男性育休実績を公表していたり、男性育休を推奨していたりする企業の求人の人気が高まることで、これまで以上に両親が家事・育児を協力しあえる社会に近づくでしょう」
(文・編集:野上英文、バナー写真:maroke/iStock)