アフターコロナでWeb会議・商談の機会が増えています。2千人を対象にした調査では、約6割がカメラを「基本オフ」に設定している結果が明らかになりました。
課題として多かったのは、相手の顔が見えない「画面オフ」と、途切れがちな「通信品質」へのストレス。営業担当者への取材で聞こえた現場の声からも、職種を問わず工夫できるポイントを探ります。
アフターコロナでWeb会議・商談の機会が増えています。2千人を対象にした調査では、約6割がカメラを「基本オフ」に設定している結果が明らかになりました。
課題として多かったのは、相手の顔が見えない「画面オフ」と、途切れがちな「通信品質」へのストレス。営業担当者への取材で聞こえた現場の声からも、職種を問わず工夫できるポイントを探ります。
都内で法人営業を担当している男性(28)はオンライン会議で、相手にカメラをオフにされると「パフォーマンスが下がる」と話します。
「営業は相手の顔を見ながら、会話のテンポを変え、自分が話している内容を理解してもらえているのかを確認しています。相手が画面オフだと正直、やりにくいです」
この男性は、コロナ禍にオンラインでの営業活動が始まり、アフターコロナでも「移動時間の短縮」や「ライトなコミュニケーションが取れる」という理由から、勤務先ではオンラインでの商談が主流になっていると明かします。
「オンラインだと1日に熟す商談が多くなるので、アポイントの数が格段にあがります。15分でも商談できるのが良い」と、メリットも口にします。
ただ、「画面をオフにされると、こちらとしてもテンションが下がります」と言い、そんな時は「カメラつきそうですか」と、さり気なく聞くように工夫していると言います。
オフィス家具メーカー「イトーキ」(東京都中央区)がWeb会議のカメラ運用について実態調査 (対象2千人)したところ、約4割が「基本オン」、約6割が「基本オフ」に設定していることが分かりました。
職種別でみると、情報システムは、「どんな時もカメラはオフ」「基本はカメラオフ、時々オン」のオフ派が合わせて75.8%。一方、人事は63%がカメラオンの設定で、他の職種よりも比率が高いことが分かりました。
対面式との違いは、カメラだけはありません。Web会議での不便・不満を感じる点についての調査では、「通信品質(途切れや遅延)」を挙げる人が、全職種共通して最も多い結果となりました。
職種別で、営業/営業企画は「相手のカメラがオフで、反応/表情が分からない」(38.1%)ことへの不満が人事や総務と比べても最も多かったですが、「通信品質(途切れや遅延)」へのストレスもやはり高い(35.8%)結果でした。
都内でIT系の営業を担当する40代の男性は、「オンライン会議のおかげで移動時間や資料出力の手間、プレゼン機器の設置といった準備時間が短縮され、効率的に業務ができるようになって、対面だけよりもメリットの方が大きい」と言います。
Web会議の課題については「商談相手が画面オフの時もありますが、相手の声のトーンを読み取って反応をうかがい判断しています。私は相手の顔が見えないことよりも、音声に障害がある時が最も困ります」と明かしました。
営業職のなかでも、相手の画面オンを期待せず、コミュニケーションの“生命線”として通信品質の「音声」を重視している人もいることが分かります。
Web会議のメリットを誰もが感じながらも、足を引っ張る「画面オフ」や「通信障害」......。プレゼンでは、どんな工夫をして乗り切っているのでしょうか?。
調査では、直近1カ月に自身がプレゼンする立場でWeb会議に参加した人に工夫している点を質問。その結果、全回答では「話すスピード」や「資料」を工夫している人が多かったです。
「顔映りや視線にも多少、気を使っていますが、Webでは相手のカメラの位置によって目線が合いにくい問題があると思います。このため、対面以上に、参加している人たちのことを想像しながら、話すスピードや資料の見やすさに配慮しています」(40代男性、都内IT系営業)
一方、人事では「顔映り」(41.9%)と「視線」(37.4%)、「身振り手振り」(32.9%)を工夫している人が多く、画面越しでも対面に近い肌感覚が伝わるプレゼンを意識していることが分かりました。
オフィス回帰が進むなか、オンラインを活用した会議や商談は、ビジネスの主流になりつつあります。日頃、何気なく感じているストレスは自分一人ではなく、工夫も進めていることが調査からうかがえました。四半期の区切りに、職場でそうした課題や対策をシェアし合う機会を設けると良いかもしれません。
(取材・文:松浦美帆、比嘉太一 編集:野上英文)