「大企業に100%内定」「ES手伝う」...囲んで50万円 

2023年6月19日(月)

「大企業に100%内定」と50万円請求

「セミナーを受ければ大手企業に100%内定する」

JobPicks編集部が国民生活センターに取材したところ、就活に悩んでいた20代の男性は、就活塾の広告をSNSで見てサイトに登録。その後、トラブルに巻き込まれたといいます。

20代男性:就活塾のサイトに登録した後、Web会議で無料のカウンセリングを受けました。

その相談では「自己分析や面接対策のセミナーを受ければ、大手企業に100%内定する」と言われました。

費用として「約50万円かかる」と言われ、その場で判断するよう迫られました。

考える余裕もなく勧められるままに申し込みました。そこから「セミナーのオリエンテーションのために頭金2万円を支払うように」と指示されて、振り込みました。その後、Web会議でのオリエンテーションでセミナーの説明を改めて受け、電子契約書面にサインしました。

SetsukoN /iStock

後日、友人に相談したところ「金額が高額すぎる」と指摘され、無料通話アプリのメッセージで「高額で支払えないので、セミナー受講を辞めたい」と担当者に伝えました。

しかし、「今やめるのはもったいない。みんな苦しくてもローンで支払っている」と電話で説得され、解約にすぐに応じてもらえません。

その後、担当者やローン会社からの電話に出ないでいると、アプリのメッセージで「解約に応じる」と連絡が来ました。

ただ、解約料として契約金額の20%を請求され、納得できません。

トラブル昨年198件、3年ぶり増加

消費者のトラブル相談などに応じる「国民生活センター」によると、就活に関連して高額なセミナーやスクールなどの契約をさせるトラブルの相談が毎年、多く寄せられています。

2022年の相談件数は計198件で、過去7年間(2015〜22年度)で2019年度(199件)に次いで2番目に多い年でした。

同センターは、「最近は就活生がネット広告などで見つけた無料カウンセリングに参加したり、SNSで知り合った人からアドバイスを受けるためにオンライン会議に参加したりしたところ、不意打ち的に高額なセミナーやスクールなどの契約に勧誘されるケースが目立ちます」と傾向を説明します。

誘い文句に「ESの添削を手伝う」

センターへの取材によると、実際の被害も確認されています。

20代の女性は、プログラミングスクールへの勧誘を進められ、50万円を支払ったといいます。

20代の女性:SNSのフォロワーから「ES(エントリーシート)の添削を手伝う」と連絡があって、頼みました。

「理論的思考力が足りない」「プログラミングの勉強をするべきだ」などと言われ、その人の「上司」という人から話を聞くように勧められました。 

Web会議で話を聞くと、約50万円のプログラミングスクールへの勧誘を受けました。

「親に相談したい」と伝えましたが、担当者から「事後報告でよい」 と言われて、オンラインで契約して、支払ってしまいました。

​​Motortion /iStock

はじめは「無料のつもり」が言葉巧み

トラブルに巻き込まれても、泣き寝入りする学生も少なくないといいます。国民生活センターは取材に、「怪しいと思ったら、すぐに消費者ホットライン『188番』に通報するように」と呼びかけています。

「無料カウンセリングのつもりでWeb会議に参加しても、いきなり高額な契約の勧誘を受けることがあるため注意してください」

「SNSで知り合った人からの一見は親切な誘いが、高額な契約の勧誘が目的の恐れがあるためこちらも注意が必要です」

「相手は就活生の不安をあおる言葉を巧みに使ってきます。間違って契約してしまっても、クーリング・オフや契約の取り消しができる場合もあるので、不安に感じたり、怪しいと思ったら消費者ホットラインに電話で相談してください」

Masafumi_Nakanishi /iStock

「消費者ホットライン」は電話で「188(いやや!)番」 全国共通の電話番号で、地方公共団体が設置している身近な消費生活相談窓口に案内されます。携帯電話からも可能です。

(取材・文:比嘉太一、編集:野上英文)