就活の第一志望は狭き門.....自分をコロコロ変えていいの?

就活の第一志望は狭き門.....自分をコロコロ変えていいの?

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BARに友人2人とリクルートスーツ姿で訪れたのは都内の私立大学に通うゆうじさん(仮名)。22歳の大学4年生です。

現在、就職活動中で、エンターテイメント業界を第一志望としているそうですが、人材業界にも関心があり採用試験を受けているそうです。

志望業界ごとに、「自分を変える」ことに悩んでいるようです。

“新卒相談BAR”の開店です。

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目次

狭き門 「他の業界もみないと...」

午後9時すぎ。陽気なレゲエミュージックが流れる店内では、20代の若者たちがジョッキやカクテルグラスを片手に会話を楽しんでいます。

2024年卒の就職活動が本格化して、多くの客が就活の話題を口にしています。

大学の友人とテーブル席に座り、ココナッツオレンジのカクテルを傾けるゆうじさんの姿がありました。

「ES(エントリーシート)作成のラッシュで、めちゃくちゃ大変です」

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ゆうじ「僕の第一志望はエンタメ業界で、その中でもレジャー業界にいきたいです。ただ、採用人数が少ない狭き門で、他の業界もみないといけないと考えていて…」

ゆうじさんは大学で重量挙部のマネジャーとして部員の栄養や体重の管理、ストレッチメニューの作成などをしています。

選手のパフォーマンスを高めるための裏方の役割にやりがいを感じており、この経験から、職業選択の関心の幅も広がっています。

ゆうじ「エンタメだけではなく、組織コンサル業や人材業界も視野に入れてます。ただ、志望業界ごとに自分を変えていかなければいけないことに正直、疑問を感じています」

「相談、お願いしまーす」

店内に声が響き渡りました。

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学祭運営にやりがい。「熱狂作りを仕事に」

BARでアドバイザーとして席に座るのは、年間300件以上の就職や転職の相談に乗っている店主の二宮大さんです。

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「なぜ、ゆうじ君はエンタメのレジャー業界に行きたいの?」

ゆうじ「小、中、高、大学と体育祭や文化祭、合唱祭など学校行事のイベント運営に関わることが多かったんです。みんなで行事を作っていくのが、部活よりも楽しくて…」

「学校行事って学生が非日常の時間を共有して、一体感を感じることができるじゃないですか。その熱狂を作っていくことを仕事にしたいなと思っています」

「エンタメの中でもレジャー業界の東京ドームやオリエンタルランド、よみうりランドなどを第一志望にしています」

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キャパを定めず、20代は突っ走ろう

「熱狂を作ることは、広告業界でもできそうだけど?」

ゆうじ「広告業界も考えたのですが、残業時間が多いって聞いたので、体力的にキツいかなぁーと思って…。自分のキャパ的にも、できるかどうか不安だったので広告は今は見ていないです」

「なるほど。まずアドバイスとして、自分自身でいま、キャパは決めない方が良い。20代は可能性を信じて、仕事にとことん打ち込んで全速力で走った方がいい」

「20代に本気で突っ走った人は、仕事に対するキャパが広がるし、体力があるから30代に流して走っても、40代がマジで仕事が楽しくなる。逆に20代で本気を出せなかった人は、30代に走れる余地は残っていても、ラストチャンス。成功した社会人はみんな口を揃えて言っているよ」

「自分の可能性を狭めないためにも、まず就活段階で自分のキャパは考えないほうがいいと思うよ」

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pondsaksit / iStock

第一志望に選択と集中を

「今、ESの作成ラッシュの時期だけど、本当に行きたい業界だけに集中して、他の業界は受けないという選択も大事。エンタメのレジャー業界に行きたいなら、狭き門でもエンタメに集中するのが良いと思う」

「エンタメは企画系の仕事だから、創造性や創造力がある人間なのかを必ず見られている。ESに個性や素質が出るから、集中して準備しないといけない」

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泥臭い仕事。格好つけない

「あと、自分をよく見せようとスマートに格好つけている感じがあるよね」

ゆうじ「はい。確かに格好つけてます」

「エンタメは泥臭い仕事。外から見たら、楽しそう、おしゃれ、かっこいいって見えているかもしれないけど、中身はものすごく泥臭いからね」

「もっと自分らしくあってもいい」

ゆうじ「そうなんですよね。どうやったら、面接で自分らしさを出せますか?」

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「エンタメは人をワクワクさせたり、感動を与えたりする仕事。ワクワクっていうのは、心で面白いと感じることだから、心の会話ができないといけない」

「頭と頭の会話ではなく、心と心の会話。面接では、合理的で理論的な話も大事だけど、熱意を持って、心でコミュニケーションを取ることが大事だと思う」

「そのためには、さっき言った格好つけるのではなく、素直な自分らしさをもっと出すこと。そうすれば、志望先ごとに自分を変える必要もなくなるから」

「面接官もいろんなことを悩んでいる一人の人間なんだと思って、こちらも素直に臨むことが何より大事かな」

ここまで聞いたゆうじさん。「めちゃくちゃ、就活の参考になりました。第一志望のエンタメ業界に入れるようがんばります」と意気込んでいました。

    ◇

就活や仕事で悩む若者たちの本音が聞こえてくる「新卒相談BAR」。連載シリーズは金曜に公開予定。

(取材・文:比嘉太一、撮影:是枝右恭、デザイン:高木菜々子、編集:野上英文)

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