育ててくれたグラフィックデザイナーとの仕事の記憶
特定のアドバイスというよりは、自分を育ててくれたグラフィックデザイナーの仕事への姿勢が最も教訓になっています。
グラフィックデザイナーは専門職ではありますが、エンジニアのような難しい専門職と違って一般職の人からフィードバックを受けやすい専門職です。本来ならばグラフィックデザイナーが専門家として適切に判断をしなくてはいけない部分まで一般職の人に判断をまかせてしまうような場面もよく見られます。製作物の内容や方向性、趣味、趣向、意図が間違っ...
ていないかを確認するためのフィードバックのはずが、どうすれば完成度が上がるかを一般職の人のフィードバックに頼ってしまって、製作物が迷走していくというのはよくある経験だと思います。 一般職の人が完成度に対してオーケーを出したとしても、ある程度の完成度を超えると専門家でないと正しい評価ができないし、グラフィックデザイナーはその遥か遠くに完成度のゴールラインを設定してなくちゃいけません。育ててくれたグラフィックデザイナーは、トップクラスの専門家として責任を持って案件に対処していて、クライアントに判断を仰がないといけない部分と自分が専門家としてこだわる部分が明確に見えていたので、そのときの強く正しい仕事への姿勢ははっきりと心に残っています。デザイナーとして独り立ちした今でも、「師匠のゴールラインに届いているか」「師匠に見せて恥ずかしくないものになっているか」を判断基準のひとつにしています。