クリエイティブ・アートディレクターの経験談苦労

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

  • 阿部 晶人
    現職者阿部 晶人
    経験: 25年
    株式会社カヤック

    アイデアが出ない時と、仲間が去りゆく時です。

    発想が僕らの商品です。

    だから他の人には出せないアイデアをどうしても出さなければなりません。


    ねじめ正一さんの「手を抜かず、気を抜かず、力だけを抜く。」という言葉があります。重圧に負けて硬くなってしまうとどんどんアイデアが出なくなっていくので、「なんとかなるやろ」という根拠のない自信を常に持ち続けて軽やかに粘り続けるのです。


    基本的にアイデアを出すのが好きな人がこの仕事をやっていますが、それでも出ない時はかなり苦しいものです。嫁さん...

    に相談したいけど、新商品の具体的な情報言えないからめちゃめちゃぼやかした言い方で相談してみたら「あんた何言ってんのかまじわからん」と一蹴されます。 この苦しさを解消するにはアイデアを出すしかないのです。そこに近道はありません。でもみんな苦しいけどマラソンしてるじゃないですか?(僕はしないけど)。あれと同じでやっぱりランナーズハイになったりゴールする喜びが体に染み付いてるから、苦しくてもやるんですよね。いやぁ、苦しいなぁ(笑)。 もう1つの苦しみは、仲間が去ってしまう時。 ほとんどのアイデアは難産です。 仲間とうめきながら、苦しみながら、産み出すのです。そのアイデアを可愛がって育てて「世の中」という世界へ嫁に出す訳です。たくさんの仲間がかいがいしく世話をしていく中で、仲間というよりもむしろ家族のような絆がスタッフ間にできていきます。だから色々な事情で仲間が去ってしまう時は堪え難い苦しみを伴うのです。何度枕を濡らしたことか。 失恋の乗り越え方が様々なように、この苦しみもその人なりに乗り越えるしかない。僕の場合は、旅立つ仲間の武運を祈りながら、胃袋を揚げ物で満たします。


  • 飯田 真吾
    経験者飯田 真吾
    経験: 10年
    合同会社DMM.com

    「締め切り」が生む重圧と、「制限」によって生まれるクリエイティビティ。

    大きな、誰かの「課題」を、自分ごと化して、締め切りまでに「暫定解」として提示しなければいけないこと。そのプレッシャーは大きい。当人たちよりも、自分ごと化する「憑依力」が求められるし、必ずアウトプットまで持っていかなければいけないという大きなプレッシャーがある。それも締め切りという時限付き

    で。その制限が生むクリエイティビティも大きいが、その生みの苦しみがとてつもなく大きいこともまた確か。