CHRO(最高人事責任者)の経験談苦労

この仕事をやっていて、眠れないほどしんどい瞬間はどんな時ですか?

  • 安田 雅彦
    現職者安田 雅彦
    経験: 9年
    株式会社 We Are The People

    経営決定や施策と、理念・価値観・組織文化の「整合」が取りづらいとき

    ビジネスをドライブしていく上で、短期的に全ての社員にとってハッピーでない決定をせざる得なかったり、一見すると理念や組織の価値観と矛盾するような施策を取らなければならないことが稀にある。


    そんなときでも、人事のミッションとして、その意味や意義と会社・ビジネスの方向性に整合性を持たせ、前向きな理解を得ようと制度設計したり、コミュニケーションを考えたりするが、そうそういつも完全ポジティヴにピタッ!と収まる訳ではない。そのロジックが上手く纏ま...

    らない時は、フラストレーションを覚える。


  • 松井 しのぶ
    現職者松井 しのぶ
    経験: 4年
    株式会社ユーザベース

    正解がない中の意思決定

    人事制度というのは、概ね正解がないことが多く、会社のカルチャーや大事にしていることを軸に意思決定していく必要があり、かつ、メンバーの生活にも直結する、非常に難しいものだと思っています。つまり、いろいろ検討するけれども、最後は意思に基づいた「決め」の話であることが多く、考え方や生活環境、プライベートの状況などは人それぞれなので、全員が絶対的に満足する・納得する制度を作ることは不可能に近いと思っています。全員が満足するものではなく、その会社...

    が大事にする軸をしっかり人事制度に反映する必要があると思っています。 また、何をもってフェアとするのかというのも非常に難しいです。例えば、最近議論したのは、通勤交通費の廃止についてです。ユーザベースでは「働く場所は自由」となっているので、必ずしもオフィスでなくても働けます。オフィスに来ると通勤交通費がかかる、家で働くとWifi代がかかる、電気代が高くなる、など人それぞれのニーズがあります。住む場所や働く場所は自分で選べる前提でいうと、全員に一律の手当を支給し(何に使うかは個人の自由)、通勤交通費は廃止するということを決めました。そもそも遠くに住んでいる人にたくさん交通費を払うのはフェアなのか?今まで当たり前のように慣習的に払っていましたが、これも突き詰めると難しい問題です。 また、どこまでのアンフェアを許容するのかというのも難しい問題です。認可保育園に入れなかった人向けに「保育料補助制度」というものがあります。これは特定の従業員にだけ特定の手当を出すもので、子供のいない人からしたらアンフェアな制度です。でも一方で、こういった補助がないと働き続けられない日本の現状もあります。 これらは一例ですが、このように正解のないことを決めていくとき、そしてそれが全メンバーの生活に大きく関わるとき、すごく悩むし、いろんなご意見を頂くと正直しんどいときもありますし、一方で、みんなで新しい制度を作り上げるワクワク感もあります。