新しい制度を作る際に、あらゆるケースを想定して、ミスや見落としがないかを精査しないといけないとき
新しく制度を作ったり、既存の制度を大きく変更したりするときほど、仕事としては面白い一方で、同時に眠れないほど不安になります。国の制度は全国に適用されることがほとんどですし、新しく規制を作る場合は、事業者が拒否しても国の強制力をもって無理やり適用されます。また、法律などはそう頻繁に改正することもできません。それゆえ、何かしら制度に問題があると、それによって多数の人々が不利益を被ることになります。また、見落としがあって、制度に抜け道のような...
ものができてしまった場合、そこから制度全体が崩れてしまうことも考えられます。その場合、直接に被害を被るのは自分ではなく国民だというのが行政の仕事の特徴だと感じています。 このため、新しく制度を作る場合、ミスや見落としがないかを徹底して洗い出してチェックします。「こういうケースが出てきたらどう処理するか」「こういう悪いことをする事業者が出てきたらどう対応できるか」といった点を、想像力を働かせて考え、およそ想定できる全てのケースに対応できるよう細部を詰めていくのですが、そのときには、「本当にこれで十分か。気付いていない抜け穴があったらどうしよう」という不安な気持ちで、帰りの電車でも、また夜寝るときも考え込んでしまうことが多々あります。 例えば、数年前、水産の養殖業の資源管理のルール作りに携わったときは、全ての養殖業者がルールをしっかりと遵守して、国全体として資源を適切に管理できるようにすることが何より重要でした。なので、「抜け道や悪用が一切できないルールになっているか」ということを、あらゆるケースを想定してチェックする必要がありました。自分としてはチームのメンバーとよく議論をしてしっかりとした制度にしたつもりでしたが、新しい制度が始まる前の夜には、「本当にあれで十分だっただろうか。抜け道を使われて、資源管理が守られなくなるおそれはないか。」と不安な気持ちで眠れませんでした。 国の制度を担うという責任の大きさと裏返しで、良い意味で非常に緊張感のある仕事だと思います。