『『職業としての政治』』マックス・ウェーバー
古典中の古典ですが、「行政」の意味を考えるためには必読書だと考えています。
三権分立の三権とは、立法・行政・司法と言われますが、なぜ「行法」ではないのでしょうか?行政だけ「政」の字が用いられている意味を考える必要があります。国家でも地方でも、公務員(≒行政官)の仕事を考える時、政治との関係は切り離すことはできません。行政の基本は、政治的に決定された政策の実行や執行を担っているからです。
この点について、行政には「法律による行政の原理」...
といわれる考え方があり、特に法学部出身の人は、行政は法律に基づいて政策を執行する仕事だと理解していることが多いです。もちろん、行政は人の権利や義務に関係する仕事なので、法令の根拠に基づいた運用は絶対です。しかし、法律はあくまで政策の実行手段に過ぎません。行政の定義が「国家の権能から立法と司法を除いたもの(行政控除説)」という考え方が通説となるくらい、行政には一言では語り尽くせない種類の仕事があります。ウェーバーが示した正当性の根拠や政治の役割は、一言では語りつくせない多岐にわたる行政の仕事の意味を政治との関係で考えるための基盤になるものです。 政策の企画立案に関わりたいと思っている人には、ぜひ読んで、考えていただきたい本です。薄い本でありながら、ウェーバーの考えが凝縮されています。