『他者と働く』宇田川元一
多くの場合、法人における購買行動は一人の行動で完結しません。必ず複数人の合意を得ながら最終的に契約に至ります。また同じ会社の人間ではありながら、同じことを考える一枚岩であることはまずなく、一人一人やりたいこと、やりたくないことは異なっています。情報システム部や営業現場は出来るだけリスクや負荷を抱えないように現状維持をしたく、企画部は生産性を上げるために新しい仕組みを入れたがるのです。
法人における購買行動とは、そんな立場の異なる、分か...
り合えない複数人が絡みながら合意形成をしていく行為であり、フィールドセールスはこの合意形成をしてもらうための活動をしなくてはなりません。 また社内における調整もフィールドセールスの大切な仕事です。仮に顧客内の合意形成ができても、顧客の想いと自社の都合に折り合いをつけられなければ契約には至りません。 この本は、そんな分かり合えない他者たちと働くにあたって、合意形成に到るために大切なことを教えてくれます。 人間は本質的には分かり合えないのだということ。だから自身のナラティブをいったん脇に置いて、対話をすることで、 対立する個と個ではなく、「新しい関係性」を築くことが重要であるということ。 おそらくこの本がなければ、永遠に本質を理解できないまま、なんで売れないんだろう、なんで分かってくれないんだろうとなっていたと思います。 様々な立場の「他者」と働くことになるフィールドセールスだからこそ、 そして一度売ったら終わりではなく、関係性が長期に渡って続くような”サービス”セールスが増えている今だからこそ、 ぜひ読んでいただきたい本です。